コリアインサイト 韓国化粧品、更なる躍進
2024.07.22 (月)
コリアインサイトでは過去に「K-Beauty(韓国コスメ)人気に注目」や「韓国化粧品業界の変化」などで韓国の化粧品業界について取り上げてきましたが、本記事では次の段階に進んだお話をしようと思います。
中国は2015年より10年間、韓国の化粧品業界にとって主な顧客でした。しかし、2016年に米軍のTHAADミサイルを韓国に配置することを公表して以降、中国で韓国文化の流入を規制する限韓令が始まり、その輸出量は落ち込んでしまいました。それに加え、外出が規制されていたコロナ禍において、全世界の化粧品需要は減少、この影響によって韓国の化粧品業界にもたらした売上高の機会損失は約1.1兆円と推測されています。
そのような状況で、コロナ禍以降は、世界的な韓流ブームを追い風に日本、米国、ベトナムなどがその突破口を開きました。2024年上期の韓国化粧品の輸出額は全体で前年比16%増。そのうち日本は同18%増、米国は同59%増、ベトナムは同19%増となっています。
今回は韓国化粧品業界の好況の恩恵を受けているODM会社をご紹介いたします。
ODM会社とは、ODMとOEMの違い
ODMとは「Original Design Manufacturing」の頭文字をとった略語です。一般的に委託を受けた「受託者」が委託ブランドの製品を生産だけでなく、設計やデザインを行うことを指します。つまり、「委託者」である化粧品ブランド会社が商品を企画して、後はODM会社に任せると、設計、デザイン、生産などを代わりに行ってくれるというものです。
一方で、類似する単語でOEMというものもあります。OEMは「Original Equipment Manufacturing」の頭文字をとった略語で、こちらは委託を受けた「受託者」が委託ブランドの製品を生産することを指します。ODMとは異なり、商品の企画・開発、設計等は「委託者」であるブランド会社が行い、OEM会社は生産だけを遂行する会社という意味となります。
比較をするとODM会社の方が役割は多く、その分、市場への影響力も大きいというわけです。
代表的な上場ODM会社
韓国の上場ODM会社は、コスマックス、韓国コルマー(韓国:161890)、C&C Internationalなどがあります。コスマックスは売上げの41%がスキンケアなどの基礎化粧品で、一般的にコスメと呼ばれるファンデーション、リップなどが51%を占めます。韓国コルマーは基礎化粧品が7割です。C&C Internationalはコスメのみを取扱っています。
※「コスマックス」「C&C International」 につきましてはアイザワ証券で取扱っておりません。
活況の後押しを受けた生産工場の増設
韓国のODM会社は工場の稼働率が既にフルとなっており、今後予測される輸出量増加に対応するための国内、国外問わず工場の増設が続いています。
コスマックスは中国、韓国、インドネシア、タイと国外を中心に生産工場の増設を行っており、完工すると生産能力は2022年対比の2.4倍にもなる見込みです。韓国コルマーも韓国と米国で増設を進めており、完工すると生産能力は2022年対比2.4倍にも上ります。一方、C&C Internationalは韓国内で増設を行い、完工すると生産能力は2022年対比3.7倍にもなります。
工場増設に投資した資金の回収時期は来年2025年からと推測されており、今後5年間は引き続き韓国化粧品会社の業績に注目したいと思います。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。