株価の値上がりだけじゃない!?株式投資のメリット
2024.05.07 (火)
株価の値上がりだけじゃない!株式投資のメリット
2年生の講義がここからスタートです。2年生ではより実戦に近い形で、株式投資の基本を学んでいきましょう。まずは、投資未経験の方にはあまり知られていない、投資で得られるメリットを解説します。
株式投資といえば株価の値上がりで利益を得るというイメージの人も多いのではないでしょうか。もちろんそれは株式投資の大きな魅力といえますが、株式投資には他にも利益を得る方法があります。それは「配当金」と「株主優待」です。これらを投資目的としている人もいるほどです。「株価の値上がり」以外の2つの稼ぎ方も知っておくことで、投資の幅が広がります。まずはどんなものなのか学んでいきましょう!
配当金(インカム・ゲイン)
配当金とは ”企業が事業活動で得た利益の一部を株主に還元するお金” です。簡潔にいえば、お金を出してくれた株主に対して、「出してくれたお金で儲けたからその儲けを分けちゃうよ!」というお礼のようなものです。配当金は1株あたりで換算されるので1株以上保有していればもらえる権利を有します。投資の売買で上手く利益を出せるかわからない、株式投資が難しいという人は、まず配当金目的で企業を選んでみてもいいかもしれません。値上がり益よりも利益を得やすいのが配当金の強みといえます。(※ 配当金は業績に左右されるので、必ずしも公表されている金額がもらえるとは限りません。また、業績に関わらず配当金を出さない企業もあるので注意してください!)
では、配当金がもらえる場合、実際にいくらもらえるのか、どのように計算したらいいのでしょうか。ここでひとつ例を出してみましょう。
例えば、配当金を1株当たり30円出している企業があるとします。あなたはこの企業の株を200株持っています。ではその場合、配当金はいくらもらえるでしょうか。
計算は単純に(1株当たりの配当金)×(保有株数)で導き出せます。
今回の場合…、
"30円×200株=6,000円"の配当金がもらえることになりますね。ただし配当金は利益扱いなので、ここから約20%の税金が徴収されます。そのため、実際にもらえる金額はこれよりも少ない金額になるので気をつけましょう。(※株式や投資信託取引で生じた損失と通算することで徴収された税金が戻ってくる場合があります)
ちなみに、この配当金はいつもらえるのか、気になるところですね。配当金がもらえる時期や回数も企業によって異なります。年に2回配当金を出す企業もあれば、年に1回しか出さない企業もあります。また、春に出す企業もあれば夏に出す企業もあります。しかし共通して決まっていることは、「配当金は”権利確定日”に権利が確定する」ということです。では”権利確定日”とは何か、これは次の株主優待にも関わってくるので後ほど解説します。
株主優待
株式投資のもうひとつの魅力は「株主優待」です。株主優待で生活している人、なんてテレビで取り上げられているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。(株主優待については4年生記事「株主優待のススメ」で解説しています。)
「株主優待」とは、企業が資金還元の一つとして自社の製品やサービス等を株主に提供するものです。施設の優待券や自社製品の詰め合わせ等、内容や量は各社様々で生活に役立つものから株主優待限定のオリジナル製品という企業もあります。そのため、株主優待を目的に投資をするという人も少なくありません。ただし、株主優待を出していない企業やもらえる株数に条件を設ける企業もありますので、事前に確認をしておきましょう。
「どの株主優待をもらおうか」、「案内が早く来ないかな」と考える時間も投資を楽しむ一つの要素です。旅行が好きな場合、航空会社の株主になれば、航空券の割引券やマイルなどのポイントがもらえることがあります。その間に「どこに行こうか」、「どんな特典と交換しようか」など未来の楽しみを考えると投資に触れやすくなるのではないでしょうか。
株主優待が人気の企業の株は、長期で保有されることが多いです。そういう企業ほど、長期保有者に対してプラスの優待を提供していたりします。また、そういった企業は株の売買が頻繁でない可能性があるので、値上がり益の期待は難しいかもしれませんが、半面、毎日株価をチェックできない、上昇下落が激しいと不安になるという人にとってはおすすめしたい株でもあります。
株主優待においても配当金と同様にもらえる時期は企業によって異なり、権利確定日にその権利は確定します。先ほど配当金の項目にも出てきた”権利確定日”について、次の項目で説明していきます。
権利確定日
ここまで「配当金」「株主優待」について解説してきました。では2つに関係する「権利確定日」について学んでいきましょう。
「権利確定日」とは言葉の通り、配当金や株主優待がもらえる権利が確定する日を指します。この権利確定日に株式を保有していることで、はじめてその権利は確実なものになるのです。この権利確定日は企業によって異なります。詳しくは各企業のサイト等で確認することができます。ここでは例として、9月30日が権利確定日の場合で解説します。
9月30日が権利確定日の場合、30日に株式を保有していれば権利を得られます。株式をいつ買ったかではなく、30日の権利確定日に持っているかどうかが重要なのです。
ここでネックとなるのが、「株式の受け渡しには買付日を含めず2営業日かかる」ということです。株式は買ってから受け取るまでに2営業日かかります。また、売って手放すまでに2営業日かかります。つまり30日までに株式を得るには、2営業日前の28日までに買う必要があります(土日祝日を挟む場合は異なります)。
その2営業日前の日を「権利付最終日」と呼びます。この日までに株式を買付すれば権利は得られますが、逆にこの日に売却すれば、2営業日後の30日には株式は保有していないことになるので、権利は得られないというわけです。もし売却したい場合、権利付き最終日の翌日、29日に売却をすれば株式がなくなるのは10月1日になり、30日は保有していることになるので権利は残ったままになります。権利付最終日の翌営業日は「権利落ち日」と呼ばれています。買うなら権利付最終日、売るなら権利落ち日と覚えておくとよいかもしれません。
最近では、株式の保有期間や数に応じて、通常の株主優待とは別の特別優待を出す企業も多くなっています。一般的に配当金や株主優待の権利を目的に、権利確定日前後での取引数が多くなる傾向があります。頻繁な売買は株価変動にも影響するため、なるべく長期保有をしてくれる株主の方が企業にとってはありがたいのです。このように、株価安定のためにも企業は試行錯誤しています。
今回は、株価の値上がり以外の株式投資メリットを紹介しました。配当金や株主優待の情報は各企業のホームページに記載されています。また、アイザワ証券に口座を持っている人であれば、「iTrader」や「グローバルナビゲーター」で気になる企業の情報を知ることができます。配当金や株主優待の魅力は企業によって様々なので、ぜひご自身で興味のある企業を調べてみてください!
このようなメリットはあっても、やはり「投資=株価の値上がり」と期待する人も多いでしょう。しかし株価の値上がりを狙うならば、その仕組みを知らないことには始まりません!どのような要因(情報)で株価は変動するのか、次の講義ではより投資の実践に近づいた「株価を動かす要因」について解説していきます。
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