
今月のたけぞう氏ピックアップテーマ 「日米宇宙協力」始動から見る宇宙関連銘柄4選
2025.02.27 (木)




今月のたけぞう氏ピックアップテーマ 「日米宇宙協力」始動から見る宇宙関連銘柄4選
2月7日、アメリカ・ワシントンD.C.で石破茂首相とドナルド・トランプ大統領による日米首脳会談が開催されました。両政府における共同声明ではサイバー・宇宙分野での連携強化を掲げました。宇宙分野の協力では、敵のミサイル探知・追尾や衛星通信等を念頭に置き、また他国の人工衛星に危害を与える中露の衛星攻撃衛星(キラー衛星)や、衛星に衝突する恐れのあるスペースデブリ(宇宙ごみ)の監視に共同であたるとしています。
昨年から政府の「宇宙戦略基金」が動き出しています。同基金は、2023年度補正予算で、総務省、文部科学省、経済産業省に総額3000億円が割り当てられ、「10年で1兆円」を支援するとしています。宇宙分野での技術開発を後押しし、宇宙の利用や市場の拡大、探査の活発化を目指す狙いがあります。そうした事を踏まえ今回は宇宙関連銘柄を取り上げました。
三菱重工業(7011)
日本の宇宙開発黎明期にあたる1960年代から、ロケット開発を中心にさまざまな宇宙製品の開発に携わり、主にロケットによる宇宙アクセス手段の提供を通じて、宇宙開発の発展に寄与してきました。
2024年10月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「宇宙戦略基金」最初の採択事業に三菱重工業と清水建設(1803)、ニコン(7731)を選びました。これによりロケットの金属部品製造に3Dプリンターを使って低コスト化する技術開発を委託されました。ニコンはロケットエンジンの精密部品、清水建設と三菱重工は液体燃料タンクの製造方法などを研究するとしています。
スカパーJSATホールディングス(9412)
宇宙事業とメディア事業を両輪とするハイブリッドな強みを最大限に活かした事業を展開しています。多くの方はメディア事業で名前を知っているのではないでしょうか。同社は、1989年に日本初の民間通信衛星「JCSAT-1」を打ち上げて以来、30機以上の衛星を打ち上げ、現在も17機の静止衛星を保有し、通信・放送サービスを提供しています。実際に営業利益の約8割以上が「宇宙事業」です。2025年2月6日の決算発表で、低軌道で地球を周回する観測衛星10基を新たに打ち上げると発表しています。2026年後半から2027年にかけて打ち上げる計画で、総額約400億円を投資するとしています。
セック(3741)
リアルタイムソフトウェア等を手掛ける日本のソフトウェア開発会社です。同社の宇宙分野への取組みは1971年にリアルタイム制御が必要となる「固体燃料ロケットの燃焼試験⽤システム」の開発から始まりました。その後、大型望遠鏡の観測制御システム、宇宙機搭載システム、地上系システムと対応領域を広げ、創業以来50年を超えて宇宙分野に携わっています。同社の事業別売上高の約3割を宇宙関連が占める状況です。
キヤノン電子(7739)
これまでの自社による超小型人工衛星の開発・実証経験を生かし、人工衛星の販売を行っています。小型・中型望遠鏡の搭載機も実証実験中で、ニーズに合わせた性能を、セミカスタム化により提案可能としています。同社は、昨年4月に防衛省から軌道上で衛星を観測する実証衛星の製造・試験を受注しました。人工衛星やスペースデブリといった軌道上物体の観測においての利用が期待されます。同社は、宇宙ベンチャー「スペースワン」に出資する企業です。その他の出資企業に、IHIエアロスペース、清水建設、オリックスなどの名前があります。
その他、現在は赤字企業ですが期待されている企業もあります。自らSAR衛星開発を行い、衛星データのソリューションプロバイダーのSynspective(290A)や、世界トップレベルの高精細小型レーダー衛星「QPS-SAR」を開発・運用している宇宙開発ベンチャーのQPS研究所(5595)、宇宙機の安全航行の確保を目指し、次世代へ持続可能な軌道を継承する為、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去サービスの開発に取り組む世界初の民間企業のアストロスケールホールディングス(186A)などです。
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