
亜州潮流 国際婦人デーとベトナムの風景
2025.04.14 (月)




国際婦人デーとベトナムの風景
3月8日は国際婦人デー(女性の日)だった。これは1975年に国連が定めた世界共通の記念日である。筆者は2018年にベトナムに赴任するまで、恥ずかしながらこの記念日について知らなかった。しかし、ベトナムではこの記念日は誰もが知っており、何もせずに過ごしたら彼女や奥さんを怒らせかねない、とても重要な日といえよう。
ベトナムには10月にも「ベトナム女性の日」というのがあり、こちらは共産党が制定した日になる。いくつかのソースを調べたところ、建国の父であるホー・チ・ミンが1930年10月20日にベトナム共産党を設立した際、ベトナム婦人連合会の前身となる「反帝ベトナム婦人組合」が発足したことに由来するという。これを記念して、10月20日を『ベトナム女性の日』として女性に感謝や敬意を表す記念日と制定されている。中国やフランス、アメリカなどと戦ったベトナムでは、勇敢な精神を持った女性は武器を持って敵に立ち向かったという。言ってみれば昔から男女平等が進んでいた、ということになるが、確かに女性の社会進出は日本よりはるかに浸透していると感じる。ベトナム企業を訪問すると、とにかく女性の経営トップや役員の多さに驚く。

オフィスビルの前に置かれている「 女性の日 」の撮影用パネル
3月、10月ともにこの記念日が近づくと、ベトナムの多くのオフィスでは写真撮影用に大きなパネルが置かれることが多い。そして当日は着飾って、パネルの前で写真を撮る光景があちこちで見られる。伝統衣装であるアオザイを着てくる女性もいる。会社によっては社員旅行や忘年会並みに重要なイベントととらえているようで、それだけ企業が女性スタッフを重視している裏返しでもあるのだろう。筆者の勤務先のオフィスビルでは昼間から音楽をかけてパーティをして、優秀社員を表彰している会社もあった。筆者の勤務先はというと、男性社員が費用をカンパし、ランチタイムにピザなどをデリバリーし、スタッフみんなで食べるケースが多かった。
仕事が終わって帰宅時間になると、花束を持った女性をたくさん目にする。男性が交際相手の勤務先に花束を贈るのだが、これは2月14日のバレンタインデーなどでも見られる光景である。そしてディナータイムにはおしゃれなレストランで外食するというのが一般的で、この日のレストランはカップルでいっぱいだ。花束はディナーの時に直接手渡せばいいのにと思うが、そこは気が利くベトナム人男性だけあって、職場における彼女の顔を立てることを忘れないのである。

「女性 の日 」の街の花屋の様子
※写真はすべて筆者の知人撮影
※「亜州潮流」は、アジア新興国のトレンドを解説したコラムです。投資の推奨を目的としたものではありません。
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