
投資信託の手数料を徹底解説!種類・比較・選び方を紹介
2025.04.17 (木)




投資信託の手数料は、購入時や保有期間、解約時など、さまざまなタイミングで発生するため、投資家が支払うコストに大きく関わってきます。
本記事では、投資信託にかかる費用の種類や比較ポイント、そして長期投資における手数料の影響などについて解説します。
手数料をしっかり理解し、コストを抑えることで、より効率的な資産形成を目指しましょう。
投資信託にかかる手数料とは

まずは投資信託にかかる費用の種類と特徴を押さえ、全体像を理解しましょう。
投資信託には購入・保有・解約など複数のシーンで手数料が発生します。特に購入時の販売手数料や保有時の信託報酬は、多くの投資家が見落としがちなコスト要因です。全体像を把握しておくことで、不要なコストを払わずに済む可能性が高まります。
運用会社や販売会社によって設定される手数料の種類や金額は異なりますが、一般的には「購入時手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つが代表的コストです。これらは目論見書に詳しく記載されているため、投資検討時には必ずチェックしましょう。
購入時|販売手数料
投資信託の購入時には、販売手数料(購入時手数料)が発生します。これは投資信託の販売会社(主に証券会社や銀行)に対して支払う手数料です。
一般的には購入金額の数%程度かかりますが、ノーロードファンドのように販売手数料が0である投資信託も一部あります。販売手数料は運用成績に直接影響しないように見えますが、投資額の一部が手数料として差し引かれるため、スタート時点での資金効率に大きく関わってきます。
保有期間中|信託報酬
信託報酬(運用管理費用)は、投資信託の保有期間中にかかる費用で、投資信託の保有期間中、保有残高に応じた額が日々間接的に差し引かれています。投資信託の運用にかかる費用として運用会社、販売会社、信託銀行(受益会社)に支払うもので、運用成績にかかわらず発生します。
信託報酬は、年0.5~2%程度と幅があり、特定指数に連動するインデックス型に比べ、ハイリターンを狙うアクティブ型ファンドのほうが高めに設定されているのが一般的です。長期投資では複利効果とともに信託報酬の影響が積み重なるため、最終的なパフォーマンスに大きく響く点を意識しておきましょう。
解約時|信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託の解約時に発生する費用で投資信託を解約する際に、解約代金の一定割合をファンドに留保するための費用です。これはファンド資産の著しい流出を防ぎ、残りの投資家を保護する目的で設定されることがあります。一方、信託財産留保額が設定されていない投資信託もあり、解約コストを抑えたい投資家にとっては重要な選択肢となります。
解約者から徴収した信託財産留保額は、信託財産に留め置かれるため、基準価額などにも反映されます。
手数料以外で投資信託にかかるコスト

投資信託では、手数料以外に利益に対する税金を含む総合的なコストを意識する必要があります。
日本では投資信託に限らず金融商品を売却して得られた譲渡益や、配当金・分配金(普通分配金)などに約20.315%の税金がかかります。なお、元本払戻金(特別分配金)は課税対象外です(本記事執筆時点)。
譲渡益に発生する税金
譲渡益は、投資信託を売却した際に生じる利益のことで、売却時に受け取った金額から購入時にかかった金額を差し引いた金額です。複数回に分けて購入していた場合は、平均取得単価を用いて計算します。
例えば、50万円で購入した投資信託を売却して80万円を受け取った場合、30万円が譲渡益となり、20.315%にあたる60,945円の税金が徴収されます。
分配金に発生する税金
保有している間に分配金が支払われる投資信託も存在します。分配金には、運用益に基づいて支払われる「普通分配金」と、元本を切り崩して支払われる「特別分配金(元本払戻金)」の2種類があります。
普通分配金は課税対象、特別分配金はあくまで元本の払い戻しとなるため非課税となります。そのため、分配金の税金は分配金の合計から特別分配金を差し引いて計算します。
例えば、分配金5万円のうち特別分配金が3万円であった場合、普通分配金は2万円です。税金は2万円に対して発生するため、20,000円の20.315%にあたる4,063円が徴収されます。
この税金は運用成果を目減りさせる一因となるため、長期保有で複利効果を狙うほど影響が大きくなる点に留意が必要です。分配金を再投資する場合も、課税後の金額になることが多いため、実質的な再投資額が減少することを理解しておきましょう。
NISAなど税制優遇制度の活用
投資信託で利益を得た場合、通常は譲渡益や分配金に対して20.315%の税金が課されます。しかし、NISAの成長投資枠やつみたて投資枠などの非課税制度を利用すれば、この税負担を抑えられ、実質コストを低減することが可能です。
NISAとは、NISA口座で買い付けた金融商品から得られる利益が非課税になる税制優遇制度です。このNISA口座を利用すれば投資信託の利益は譲渡益・分配金ともに課税されません。
ただし、NISA口座では損益は税務上ないものとされます。そのため、他の口座(特定口座や一般口座)の利益または損失と損益通算できない点に注意が必要です。
手数料が安い投資信託を見極めるポイント

投資信託の運用効率を高めるには、手数料が安い投資信託を選ぶのも一手です。手数料が安い投資信託を見極めるポイントには、次の3つがあります。
見極めポイント1|ノーロード商品かどうか
販売手数料がかからない投資信託のことをノーロード商品といいます。
同じ投資信託商品でも、販売会社によって販売手数料が異なりますので、複数社を比較してから購入しましょう。
ただし、投資信託は、販売手数料だけで判断するのは適切ではありません。販売手数料以外にも、運用中の信託報酬や、売却時の信託財産留保額の水準が高ければ、手数料負担は大きくなります。
ノーロード商品を検討する際は、保有期間全体でかかるコストも加味した上で、手数料が抑えられるのかを見極める必要があります。
見極めポイント2|信託財産留保額が必要かどうか
投資信託を解約する際にかかる信託財産留保額は、すべての銘柄で設定されているわけではありません。設定されていない商品を選べば、手数料コストを抑えられます。ただし、販売手数料と同様に、売却時に1度だけ発生する費用のため、他の手数料とともに総合的に考える必要があります。
頻繁に売買を繰り返さない場合には、運用結果に与える影響は小さいと考えられますが、短期での売却を予定している場合には、信託財産留保額が不要な投資信託を選んだほうが、効率良く運用できるでしょう。
信託財産留保額の率は、目論見書などに記載されています。投資計画とともに検討して、投資を判断すると良いでしょう。
見極めポイント3|インデックスファンドかどうか
投資信託には、指数に連動する運用をするインデックスファンドと指数より高い運用効果を目指すアクティブファンドがあります。信託報酬は、一般的にインデックスファンドのほうが低く抑えられています。
アクティブファンドでは、より高い収益性を追求するため、組入銘柄の選定や分析、売買にかかるコストが、インデックスファンドよりも大きくなるからです。
手数料が安いファンドを見極めるには、インデックス型であるかを確認しましょう。
ただし、信託報酬が低いファンドがすぐれたファンドというわけではありません。信託報酬が高くなっても、それ以上の収益が見込めるなら、アクティブファンドも選択肢となります。
信託報酬だけでなく、期待リターンやリスク許容度などに沿った商品を選ぶことが大切です。
まとめ
投資信託の手数料を理解し、コストを意識した商品選びや運用を行うことで、長期的な資産形成をより効率的に進めることができます。投資信託には購入時手数料のようなわかりやすいコストだけでなく、信託報酬や解約時の信託財産留保額など、運用期間を通じてさまざまな費用が発生します。さらに、譲渡益税などの税金も加味すると、実際に手元に残るリターンは大きく変わってきます。
だからこそ、ノーロードファンドや低コストのインデックス型を中心に検討し、必要に応じて新NISAなどの税制優遇制度を積極的に活用することが大切です。投資信託を選ぶ際は手数料だけでなく、運用会社の信頼性や運用方針、リスク許容度などを総合的に判断し、長期的な視点で最適な商品を見極めましょう。
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