外国市場ガイド:台湾編
2021.12.24 (金)
ハイテク産業の集積地と対中関係
台湾は1950~60年代に掛けて輸入代替化政策から輸出拡張政策への転換が行われたことで輸出産業が急拡大し経済成長にも大きく寄与しました。そして、急速な工業化に伴う高度経済成長期に入り、韓国、香港、シンガポールと並んで「アジア四小龍」と称されるようになりました。
2001年には世界規模の不景気のあおりを受け、後退局面に移行したものの経済政策が効果を表し、その後も着実に成長し続けました。台湾の実質GDP成長率は、直近10年間で概ね年率3%以上の安定成長を維持しており、2020年の1人当たりGDPも3万米ドル近い水準となっています。
台湾経済は、グローバルIT企業の機器生産を担う国内企業が牽引してきました。電子電気機械関連が輸出品目の多くを占めてり、国別にみると、中国への輸出割合が約3割を占めています。経済では対中の依存度が高い一方で、政治は脱・中国を目指しているため、両国は切っても切れない関係でありながら、不安定な関係とも言えます。
2020年の新型コロナ禍以降は、ハイテク産業の輸出増が追い風になり、経済は回復から更なる成長へ向けて加速しています。今後政府当局は、持続的な成長に向けてアジア諸国との関係強化などに取り組んでいく必要があるでしょう。
台湾の夜市(ナイトマーケット)文化
台湾は東アジアにある島国で、国内には現代都市、伝統的な中国寺院、壮大な山岳地帯などがあります。文化的には中国を主体にしつつも日本やそのほかの文化の影響を受けています。
また、台湾といえば夜市(ナイトマーケット)が有名ですが、これは日本統治時代初期に、今の台北市大同区にある大稲埕(だいとうてい)にできたのが始まりと言われています。今のように各地に夜市ができるようになったのは1970年代ごろです。背景として、工業化が進み、中小企業がたくさんできて、勤め人が自炊する時間がなくなる一方で、物品の供給量も増え、副業・共働きで炊事の時間がないということがあったそうです。現在でも、台湾では外食が多く、夜市は食事の屋台が主体となっています。
台湾株式市場について
台湾証券取引所(TWSE)
台湾証券取引所は1961年10月に設立されました。当初は多くの新興国市場と同様に、外国人投資家に対する多くの投資制限がありましたが、1983年以降段階的に緩和され、1996年には外国人投資家による直接的な投資が認められました。さらに2003年には海外機関投資家の限度額の撤廃や、手続きの簡素化などが進められました。
現在、台湾証券取引所には956銘柄が上場しており、市場時価総額に占めるハイテク株の比率がアジア主要市場の中で最も高いという特徴があります。そのほか、代表的な株価指数には、台湾証券取引所に上場する全銘柄で構成される加権指数があります。
主要株価指数と為替相場の推移
代表的な上場銘柄
台湾市場は半導体ファウンドリ世界最大手であるTSMCや、EMS(電子機器受託製造サービス)世界最大手のホンハイ・プレシジョン、スマホ向けチップ大手のメディアテックなどの有力企業が多く上場しています。この中でTSMCは世界最先端の半導体生産技術を保持しており、米アップルのiPhoneに搭載する演算チップ(SoC)や米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の中央演算装置(CPU)、画像処理装置(GPU)などの中核部品を製造する重要なパートナーです。
また、ホンハイ・プレシジョンはiPhoneの組み立てを手掛ける企業として知られ、近年は中国からインドやベトナムに工場を移転し、IoT(モノのインターネット)や電気自動車(EV)分野に注力しています。台湾市場ではパソコンメーカーのエイスースのように自社ブランドで知られる企業もあるものの、多くの企業は独自の技術を持つサプライヤーとして世界のハイテク業界を陰から支えており、アジア主要市場の中で最も半導体・電子部品の構成ウェートが高いのが特徴です。
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