外国市場ガイド:韓国編
2021.12.24 (金)
世界景気に敏感な輸出大国
韓国は1960~70年代に掛けて重化学工業化が進められ、その後数十年間にわたって「漢江の奇跡」と呼ばれる驚異的な経済成長を成し遂げました。
1990年代以降はハイエンド製造業の育成に成功し、自動車や造船、家電、半導体などの分野で高い競争力を持つようになりました。1997年のアジア通貨危機や財閥の過剰債務問題などで経済が深刻な危機に瀕した時期もあったものの、その後政府の改革や輸出の回復を追い風に再び成長軌道に戻りました。韓国の実質GDP成長率は、直近10年間で概ね年率2%以上の安定成長を維持しており、2020年の1人当たりGDPも3万米ドル超と日本に迫る水準となっています。
韓国は輸出依存度の高い経済構造であるため、世界の景気動向に敏感です。主な貿易相手国は中国と米国で、世界経済の成長に伴って輸出の拡大が期待できるほか、半導体や電気自動車などの成長分野で韓国企業の存在感が高まっています。その反面、米中貿易摩擦の影響を受けやすく、中国や日本との競争激化に直面しているなどの課題もあります。
2020年の新型コロナ禍以降、韓国の輸出は好調に推移する一方、感染対策や経済格差の拡大などを背景に内需は低迷しており、政府当局は今後持続的な成長に向けて雇用環境の改善や内需の振興などに取り組んでいく必要がありそうです。
インターネット文化国
韓国は東アジアの朝鮮半島に位置する共和制国家です。韓国の文化は、漢字・儒教・政治・社会制度など多数の領域にわたり中国の影響を大きく受けているため、共通的要素が多く存在しています。
そんな韓国の大衆文化はインターネットと密接な関係にあります。街中にはインターネットカフェ等が多く存在し、映画や音楽、ゲーム等をネット経由で楽しむというのが主流になりつつあります。2000年には世界でいち早くブロードバンド利用者が1,000万人を突破し、2002年の日韓ワールドカップ時には「インターネット強国」と自ら宣伝するほどでした。韓国ではインターネットが現実世界に与える影響力は大きく、近年、大統領選挙や韓国蝋燭デモなどにも大きな影響を及ぼしました。
韓国株式市場について
韓国の株式市場は1992年に、制限つきながらも外国人投資家による直接的な投資が認められました。さらに、アジア通貨危機時にIMF管理体制に置かれたことを契機に、1998年から証券市場に関する規制緩和と改革が急速に進みました。
韓国の株式市場には、KOSPI(コスピ)とKOSDAQ(コスダック)があります。KOSPIは韓国を代表するサムスン電子や現代自動車などの優良企業が上場するメイン市場で、現在820銘柄が上場しています。
また、代表的な株価指数にはKOSPIに上場する全銘柄で構成される韓国総合株価指数があります。近年、株式市場において外国人投資家の影響力が拡大しています。外国人投資家は時価総額の大きな優良銘柄に集中的に投資していることから、大型銘柄の比重の高い韓国総合株価指数は、外国人投資家の動向の影響を受けやすいという特徴があります。
そのほか、KOSDAQにはIT、バイオ等の成長性の高い中小ベンチャー企業が多く上場しています。
主要株価指数と為替相場の推移
代表的な上場銘柄
韓国市場はスマホ・家電・半導体大手であるサムスン電子やメモリ大手のSKハイニックスのほか、ネイバーやカカオ、LG化学、現代自動車など、ITや素材、製造業の大手企業も数多く上場しています。
この中でサムスン電子はスマホ分野で世界シェアトップ(出荷台数ベース)、半導体ファウンドリの分野でも台湾のTSMCに次ぐ業界第2位の世界シェアを誇る有力企業です。また、SKハイニックスはサムスン電子と米国のマイクロンと並ぶ3大メモリの一角で、LG化学は電気自動車(EV)用バッテリーの有力サプライヤーとして知られています。
このように韓国市場には技術力の高い企業が多く、半導体やIT、電気自動車、水素燃料電池車などに注力していることから、今後人工知能やIoT(モノのインターネット)、脱炭素などの成長分野で韓国企業の存在感がますます高まる可能性があります。
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