外国株の賢い買い方
2021.12.24 (金)
これまでの講義では各国市場の魅力、外国株の取引方法について学んできました。今回は、実際に外国株に投資をする際に、どのような点に注目をすればよいのか見ていきましょう。
外国株投資のリスク
はじめに、外国株投資のリスクについて解説します。株式には「価格変動リスク」「流動性リスク」「信用リスク」の3つのリスクがあることは1年生の講義で解説していますが、外国株にはこれらの3つのリスクに加えて、「為替変動リスク」「カントリーリスク」があります。
具体的には、為替変動リスクは、購入時より円高になると円での手取り額が減って為替で損を被り、逆に、円安になると為替で利益を得ることができます。そのため、外国株投資においては株価と為替の両方を見る必要があります。一方、カントリーリスクは、投資国の内紛や財政破綻等の政治・経済情勢によって、株価や為替が大きく変動する可能性があるというリスクです。
では、これらのリスクを踏まえて、どのように投資をするのがよいのかを解説していきます。
先進国と新興国の違いに注意
米国などの先進国と、アジアなどの新興国では時価総額(株式市場での規模)が異なります。この時価総額が前述した流動性リスクと信用リスクに関係してきますので、外国株に投資する際に注目したいポイントのひとつです。
一般に、時価総額が小さいと売買が少なくなり、流動性リスクが高まって値動きが激しくなったり、売りたい時に売れなかったりします。また、信用リスクの点では、時価総額は株主からの評価と捉えることができるため、時価総額が大きいということは、それだけ株主から高く評価されているということになります。さらに、注目されやすい企業は入手できる情報(レポートや記事など)も多くなります。
ただし、時価総額を比較する際に注意をしなければならないのは、国ごとの違いです。例えば、米国とベトナムの市場の時価総額を比較すると、その差は1,000倍以上あります。そのため、投資する国が決まっていて個別の企業の時価総額を比較する際は、同じ国内で比較をした方がより正確な投資判断ができます。一方で、どこの国に投資をするか決まっていない場合は、同じ業種で各国の企業を比較してみると、どの国の企業がグローバルな評価が高いのかが分かります。
分散投資を活用する
外国株は価格変動リスクに加えて為替リスクがあるため、資産が変動する要素が2つあります。投資を検討している外国株の株価が下がってしまっても為替が円安になっていたり、逆に円高になってしまっても株価が上がっていたりということも少なくありません。
また、当然ながらいつが一番安く買えるのかは分かりませんので、外国株投資においても分散投資を活用することがおすすめです。投資を検討している銘柄が下がった時は予定している投資資金の全てを使って買わずに、とりあえず半分の資金で買ったり、3回に分けて買ったりする時間の分散や、先進国と新興国というように国を分散することも効果的です。そのほか、同じ国内でも業種を分散する方法もあります。
先に外国通貨に切り替える
投資先の外国の通貨で直接株式を購入できる「外貨決済」を導入している証券会社であれば、円高の時に先に円を外国の通貨に交換し、株価が下がったタイミングで株式を買うという方法もあります。
外国株ならではのリスクから、「よく分からない」「自分にはまだ早い」と感じている方でも、時価総額に注目をして投資先を選んだり、分散投資を活用してリスクを抑えたりしながら上手に付き合っていくことで、外国株ならではの良さや楽しさを感じて頂けると思います。
さて、これまでの講義では各国の特徴や外国株の買い方について解説してきました。次回は世界最大の時価総額を持ち、アップルやアマゾンなど多くの有名企業を輩出している米国市場について解説します。
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