外国市場ガイド:シンガポール編
2021.12.24 (金)
アジア有数の金融・物流センター
シンガポールは小国ながら、法制度やインフラの整備、良好な治安などの面からみると大国で、一人当たりGDPでみると東南アジア最大の高所得国です。
当初は、外資誘致政策を進めることで急速な工業化を遂げ、1980年台には香港や台湾、韓国と並ぶアジアの新興工業経済地域(NIEs)の一つとなりました。外資主導で発展してきたのちに、労働コストの上昇、人口の高齢化などの問題が顕在化してきたため、ここ数年は高付加価値産業へのシフトを進めており、近年では、金融、サービス業などが、同国の主力産業となっています。
また、語学力や数学、科学知識レベルの高さも同国の武器のひとつといえます。一方で、天然資源などをほとんど持たず他国からの輸入に依存しているほか、人口の高齢化、国内の経済格差が大きい点は、同国にとっての大きな問題となっています。
2020年の年間実質GDP成長率はマイナス5.4%と、1965年の同国建国以来最大の落ち込み幅となりました。新型コロナ禍で世界的に需要が縮小したことが大幅マイナス成長の主要因といえます。今後は、同国ならではの高付加価値産業を育成、他国からの需要に頼らない体質に変えていくことで成長維持を目指すことになりそうです。
“綺麗な街”シンガポール
シンガポールはマレー半島の南端から少し離れた島の都市国家です。地理的にもいろいろな民族が集まりやすく、マレー系人、中国系人をはじめ、英国植民地時代に労働者としてやって来たインド系人(タミール人)やアラブ人、西欧人など様々な民族が住んでいます。それぞれの民族が文化を大切にしているため、リトル・インディア、チャイナタウン等が形成されてしています。
また、街をきれいにするための厳しい法律を設けていることが有名です。ゴミやタバコをポイ捨てしたり、道につばをはいたりすると罰金をとられます。電車やバスの中で食べたり飲んだりするのも禁止されているので、ガムやアメも食べることは出来ません。また、旅行者がシンガポールにガムを持ちこむことも禁止されています。
シンガポール株式市場について
シンガポール証券取引所はメインボードとカタリストの2種類に分けられています。
メインボードは日本の東証一部に相当し、有力企業が上場しています。代表的な株式指数のシンガポールST指数は、メインボードに上場する時価総額上位30銘柄で構成されており、30銘柄合計の時価総額は約5,300億シンガポールドル(約44.4兆円)に上ります。また、指数には、投資家から集めた資金で複数の不動産などを購入し、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を投資家に配当する「REIT(不動産投資信託)」が7銘柄組み入れられているという特徴があります(2021年11月19日時点)。
一方、カタリストは新興企業向けの市場として2007年に設立されました。新興企業の上場を促進するために、上場基準がメインボードに比べ大幅に緩和されています。
主要株価指数と為替相場の推移
代表的な上場銘柄
2021年10月末時点の時価総額トップ3は、DBSグループ・ホールディングス、オーバーシー・チャイニーズ銀行、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行と、シンガポールの3大銀行が上位を占めています。
時価総額最大のDBSグループ・ホールディングスの前身はシンガポール政府が設立した「シンガポール開発銀行」で、2003年7月に現社名に変更しました。また、3行は中国(香港)、マレーシア、タイなどにも拠点を持ち、世界恐慌期に華僑系銀行が合併し設立されたオーバーシー・チャイニーズ銀行など、東南アジア華僑の顧客が多いという特徴もあります。いずれも東南アジアを代表する銀行であるといえます。
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