外国市場ガイド:マレーシア編
2021.12.24 (金)
中進国からの脱却を目指す
マレーシアは、天然ガス、ゴム、パーム油など天然資源を輸出する農業国として発展したのち、1970年代には電気、電子部品などの製造工業化を進めたほか、1980年代には外資導入を進め、工業国として発展を遂げてきました。新興国から中進国レベルまで成長を遂げてきた同国ですが、ここ数年は若干伸び悩み気味です。1991年には、2020年までに先進国入りを目指す「ビジョン2020」が提唱されたものの、まだ実現できていない状況です。
2017年に策定した「グリーン・テクノロジー・マスタープラン(2017~2030)」では、エネルギー、製造、運輸、建設、廃棄物、水の主要6分野においてそれぞれ達成目標を設定しました。また、同時に、製造業においてグリーンビジネスも関わる企業の割合を50%にまで引き上げる、という目標を定めたほか、環境に関連する企業に対して所得免税など優遇措置を設けました。
直近は、世界的に「脱炭素」「エコ」が進められている中で、同国も環境への影響を意識し始めているといえるでしょう。今後は、環境に負荷のかかるような従来型産業を維持しながらも、環境、エコに配慮する高付加価値産業なども育てていくことで、中進国からの脱却を目指すこととなりそうです。
グルメ大国マレーシア
マレーシアは、マレー半島南部およびボルネオ島北部からなり、気候は熱帯気候で湿度は1年を通じて高いです。クアラルンプールのような近代都市もあれば、ジャングルに覆われた山岳地帯やリゾートビーチもあるなど、様々な面を持っています。
また、民族的にもマレー系、中国系、インド系、さらに多数の民族で構成される多民族国家なので、様々な文化・生活様式が見られます。特に食事文化についてはそれぞれの民族の本格的な料理から、他民族の食材や調理法から影響を受けて融合した料理など、マレーシア国内だけでバラエティーに富んだ味が楽しむことができます。有名な料理としては、麺料理の「ラクサ」、マレー風チャーハンの「ナシゴレン」、串焼きの「サテー」などが有名です。
マレーシア株式市場について
マレーシア証券取引所にはメイン・マーケット、ACEマーケット、LEAPマーケットがあります。もともと、日本の東証一部・二部にあたるメイン・マーケットと新興市場のACEマーケットがありましたが、創業間もないスタートアップ企業を含む中小企業の株式市場へのアクセス向上を図るために、2017年にLEAPマーケットが設立されました。
メイン・マーケットはイスラム金融に準拠したシャリア法適格の企業を多く含むことも特徴の一つです。また、代表的な株価指数はFTSEブルサマレーシアKLCI指数で、メイン・マーケットに上場する時価総額上位30銘柄で構成されています。なお、30銘柄合計の時価総額は1.02兆マレーシアリンギ(約27.7兆円)に上ります。
主要株価指数と為替相場の推移
代表的な上場銘柄
時価総額最大の企業はマレーシア最大手行であるマラヤンバンキングで時価総額は956億リンギ(約2.6兆円)に上ります。また、病院経営のIHHヘルスケアやカジノ運営のゲンティン・マレーシア(時価総額トップ10圏外)など、シンガポールに同時上場している企業があることも特徴の一つです。
このうち、IHHヘルスケアは東南アジア最大級の病院運営会社です。同社の筆頭株主は日本の三井物産で、2021年11月時点の持ち株比率は32.84%となっています。足元はコロナ禍の影響で往来が減少しているものの、政府がメディカルツーリズムを推進するなかでグローバル病院としての地位を固めています。
取引概要
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。