
【今月のたけぞう氏ピックアップテーマ】航空需要増加から見る航空機関連銘柄
2025.03.26 (水)




航空需要増加から見る航空機関連銘柄
国際航空運送協会(IATA)が今年1月末に発表した2024年「有償旅客キロ」は世界全体で前年比10.4%増加しました。「有償旅客キロ」とは航空会社が有償旅客を輸送した距離のことです。新型コロナウイルス禍前の2019年に比べても3.8%上回りました。有償の座席利用率も83.5%に改善し過去最高となりました。
ボーイング社は、今後20年間の民間航空機の需要は堅調さが続き2043年までに航空会社が必要とする新造機の需要はおよそ4万4,000機になると推定、現在の倍増になる見込みとしています。
エアバス社は輸送量の増大に対応するために2043年までにアジア太平洋地域の航空機需要が1万9,500機に達するとの予想を発表しました。尚、エアバス社は2024年の民間航空機部門の納入・受注数を公表し、全世界計86の顧客に向け766機を納入し、2023年の735機から31機の増加、また新たに878機の受注を獲得しており、2024年12月末時点で累計8,658機の受注残を抱えています。ボーイング社は、同年末の受注残は5,500機以上と高水準となっています。
ANAホールディングス(9202)
今年2月末ANAホールディングスは、新型の航空機77機の発注を決めたと発表しました。2028年度から2033年度の5年間にかけて導入を進め、2030年度時点ではグループの機材数を約320機と、2024年12月末の272機から約2割増やすとしています。一度に発注する機材数としては過去最大で投資額は値引きなどを含まないカタログ価格で2兆1,580億円としています。
日本航空(9201)
2024年3月にボーイング社とエアバス社から計42機の旅客機を購入すると発表しました。受領期間は2025年度から2033年度で、カタログ価格は約1兆8,700億円としています。エアバス社は胴体部分の主要メーカーである米スピリット・エアロシステムズの経営不振による調達遅れの影響を受けているものの、旺盛な需要に応えて生産増強に動いています。ボーイング社もストライキが終結し、昨年12月に生産を再開しており、航空機部品を手掛ける日本企業にも好材料となりそうです。
東レ(3402)
東レの炭素繊維が2006年、新型旅客機「ボーイング787」の構造材に全面採用されることが発表されました。ボーイング社はこの複合材を、東レに16年間、独占的に供給させる破格の契約を締結するとしています。また、2015年に、10年以上延長の長期供給契約を締結しており2025年までほぼ独占的に供給出来る事になります。採用理由として、従来機比20%の燃費削減が実現出来た事などが挙げられており、NASAとの次世代の小型機への供給も考えられます。
SUBARU(7270)
『クルマ』のイメージが強いと思いますが、前身は、かつて日本の名門航空機メーカーといわれた「中島飛行機」です。創業は1917年でそれ以来、約100年にわたって航空機の開発・生産を進めています。また、ボーイング社の大型旅客機「777X」の開発では、左右の主翼と胴体をつなぐ重要部である中央翼に加え、主脚格納部・主脚ドア・翼胴フェアリングとのインテグレーションを担当しています。他にも、「767」「777」「787」の主に中央翼を共同開発・生産しています。
日機装(6376)
1983年に世界で初めて炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製のジェットエンジンナセル部品「カスケード」の開発に成功しました。現在では世界市場におけるシェアは90%を超えています。航空機の着陸時の逆噴射を支える「カスケード」であり、非常に重要な部品です。
大阪チタニウムテクノロジーズ(5726)
1952年、日本で初めてスポンジチタン製造の工業化に成功し、世界でも数社しかない航空機エンジン用の高品質スポンジチタンを提供している企業の一つです。同社は、昨年9月スポンジチタンの生産能力を増やす為、約330億円を投じて本社尼崎工場の製造設備を増強すると発表し、2027年度末までに年間4万トンから5万トンへ引き上げるとしています。
川崎重工業(7012)
ボーイング社と国際共同開発・生産にパートナー企業として参画し、ボーイング787の前部胴体、主脚格納部、主翼固定後縁の開発・製造を担当しています。また、エアバス社とも航空機や水素航空機に関する技術開発や連携を図っています。
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