コリアインサイト 韓国オンラインショッピングの強者
2024.03.21 (木)
2024年1月の韓国のオンラインショッピングの取引額はおよそ18兆ウォン、中でも食品の取引額は過去最高を記録しました。韓国では小売市場に占めるオンラインショッピングの比率が5割近くまで拡大しており、オフラインからオンラインへ消費活動の変化が鮮明となっています。
その中でも象徴的なのがオンラインショッピングで国内最大手の「クーパン」です。同社は長年赤字が続いていましたが、黒字転換を達成。既存の小売企業を圧倒する勢いを見せています。今回は「クーパン」の過去と現状についてご紹介したいと思います。
苦しんだ「クーパン」の過去
2010年に創業した「クーパン」は2014年に新サービス「ロケット配送」を導入し、業界首位に躍り出ました。「ロケット配送」は平日、休日に関係なく注文した商品が翌日に配送される画期的なサービスです。
しかし、物流システムの構築に莫大な投資金額がかかり、同社は赤字に陥り、会社の倒産まで囁かれるようになりました。そんな中、ソフトバンクから2015年に10億ドル、2018年に20億ドルの投資を受けました。結果的に「クーパン」は画期的なサービスへの投資を加速させることができました。例えば、ロケットフレッシュという生鮮食品の早朝配送サービスがあります。これは生鮮食品を午前0時までに発注すると、翌朝の午前7時までに届けてくれるサービスです。筆者も利用していますが、1回使ってみたらハマってしまいます。
小売大手と競争、そして黒字転換
従来小売業界を取り上げる際、韓国ではイーマート、ロッテなどが挙げられてきました。今はそこに「クーパン」が入ってきています。同社の2023年の売上高は31兆8,298億ウォンと前年と比べて2割の増収。さらに6,174億ウォンの営業利益を記録し、2010年の創業以来14年ぶりに黒字転換を果たしました。
中国系ECとの新たな戦い
順調に見える「クーパン」ですが、足元で新たな競争が発生しています。中国系のAliExpressとTemuの登場です。韓国のオンラインショッピングの会員数を確認すると「クーパン」が1,400万超で1位、その後にAliExpressが800万超で2位、Temuが600万超で4位に位置しています。「クーパン」の今後成長は勢いをつけてきている中国勢とどう戦っていくかにかかっていると思われます。今後の動きから目が離せません。
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