コリアインサイト 韓国リテール市場の変化
2023.10.30 (月)
韓国は国内外の要因から個人消費が縮小気味です。2023年度第2四半期の出生率が0.7人を記録、それを聞いたアメリカの大学教授の驚く姿が話題になりました。韓国では少子高齢化が急速に進んでおり、2050年には高齢化率が日本を追い越す見通しです。
また、金利の急騰も消費をためらう要因となっており、今後、韓国の小売業界ではそれに対応した企業が生き残っていくと思われます。
個人消費が縮小している4つの要因
韓国の個人消費が振るわない要因として「1.急速な利上げ」「2.人口減少」「3.高齢化」「4.インフレ」が挙げられます。
- 急速な利上げ
2023年度第1四半期の住宅担保融資の金利は、4.12%でした。これは2022年度第1四半期の2.93%に比べて、1.2%上昇しています。また、同期間の融資残高が12.8兆ウォン増加しており、個人の金利負担は重くなっています。利下げは少なくとも来年下期と予想されています。 - 人口減少
韓国の人口は出生率の低下を受けて2020年以降、減少傾向に入りました。このままでは2023年の5,155万人から2070年には3,766万人まで減少する見込みです。 - 高齢化
高齢化は危機ですが、チャンスでもあります。今年、韓国は人口の5人に1人が65歳以上となる超高齢化社会に入りました。今後消費の主体はシニア層です。シニア向けの医療、福祉、日用品、食品、近距離内の流通チャンネルが浮かび上がると思われます。 - インフレ
世界的にインフレが進んでいますが、韓国もインフレの影響を受けています。水道、電気、燃料、公共料金などが上昇しています。
消費者物価指数(前年同月比:2023/01~2023/09)
個人消費が縮小する中で、恩恵を受ける企業に注目
消費者の高齢化、市場が縮小する中で、恩恵を受ける業態もあります。身近なところでは簡単な買い物ができるコンビニエンスストア、レストランより安価で手軽なケータリングサービス、介護向け食品や家で簡単に作れる食品を手掛けるフードテック企業が挙げられます。韓国での個人消費の変化、この変化により恩恵を受ける企業の動向に注目していきたいと思います。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。