コリアインサイト 韓国化粧品業界の変化
2023.07.21 (金)
韓国化粧品業界の変化
足元、韓国の化粧品会社の株価をみると、大手ではなく中小企業の方が躍進しています。中小企業の特徴は「既存の中国向けの売上高が低迷している一方で、日本と欧米向けの売上高が増加している」という点です。直近の韓国化粧品業界でみられるいくつかの変化について考えてみたいと思います。
コロナ禍に大手化粧品会社でみられた変化
コロナ禍を経て、韓国のコンテンツはこれまでの主な舞台であった中国を越えて、欧米にまで広がってきました。「中国で最初に韓国のコンテンツが流行したあとで、関連商品が売れた」という動きがあったことを考えれば、今後欧米でも同じ流れが起こると予想できます。
直近は、中国の需要回復が遅れていることが、韓国の大型化粧品会社に影響を与えています。実際、大手化粧品会社であるアモーレパシフィック(韓国:090430)は、昨年の北米・欧州での売上高が前年比80.0%増と高い伸びを示した反面、中国を含むアジアでは前年比22.8%減でした。また、同じく大手化粧品メーカーのひとつであるLG生活健康(韓国:051900)は、化粧品部門の主力市場である中国向けが不振となり、2023年第1四半期の営業利益は前年同期比17%減でした。
コロナ禍に中小化粧品会社でみられた変化
直近の若い世代の傾向をみてみると、既存の有名ブランドにこだわることなく、オンラインで紹介されたブランドやSNSでセレブが使っている新しい製品を積極的に利用するというケースが目立っています。この現象は韓国だけではなく海外でも同じ傾向で、中小企業にとって売上を拡大させる可能性があります。その意味では大きなチャンスといえるでしょう。
韓国コルマー(韓国:024720)は中堅化粧品メーカーのひとつですが、足元の状況は好調なようです。2023年第2四半期(4~6月)決算はまだ発表されていませんが、増収増益が予想されています。
今後も主な消費者世代とマーケティングの変化によって「大手よりも中小企業が選好されやすい」という状況が続きそうです。
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