コリアインサイト 韓国電力市場の変化
2023.05.23 (火)
今年、韓国電力から第10次電力需給基本計画の発表がありました。韓国では韓国電力が発電・送電・売電まで独占しており、韓国電力の方針は大きい影響を与えます。今回は、今後の電力インフラ関連の動向と課題について説明したいと思います。
韓国の電力需給の特性
韓国では首都圏が多くの電力を消費する一方、大規模な発電設備は地方に位置しており、電力供給には長距離送電設備を利用しています。2021年の首都圏の電力自給率は72%でした。増加している再生エネルギー設備についても首都圏の割合は2%に過ぎず、今後も長距離送電がますます多くなる見込みです。
韓国における電力供給は、現在の電力網に改善の余地を残していることと、発電地域と消費地域が離れていることで効率性に欠けている面があります。
電力需給の地域的な不均衡改善のため送電設備の拡充へ
再生エネルギーの設備は増えつつあるものの、送電設備が追い付いていない状況です。再生エネルギーの割合が高い済州特別自治道(済州道)では、2022年に発電量が大きすぎて風力の出力制限を97回行いました。
これから増えると見込まれるデーターセンターも首都圏に立地するものが多く、電力需要の集中が見込まれていることから送電設備の拡充や電力貯蓄設備拡大などが必要です。
韓国電力、第10次電力需給基本計画公開
韓国電力が発表した計画によると、2036年の送電線の長さを57,681Km、変電所を1,228か所としており、それぞれ2021年に対して1.6倍、1.5倍の増加を目標としています。韓国電力の設備投資は年間16兆ウォンで、その内、送変電設備が7兆ウォンです。
これからDXと共に電気の重要度がさらに高まる時代に変化しています。電気の需要は急激に増えることが見込まれ、それに必要な設備も大きく拡大するでしょう。
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