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コリアインサイト コリア・ディスカウントの現状
2025.01.29 (水)
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コリアディスカウントとは
コリアディスカウント(Korea Discount)とは、韓国の上場企業の価値が外国の上場企業と比較して低く評価される現象を指す用語です。これは、もともと韓国と北朝鮮の対立がもたらす地政学的リスクや防衛費の増加を説明するために使われていました。
2010年代以降は北朝鮮による軍事挑発が繰り返されながらも、資本市場への影響は次第に減少する傾向にありました。しかしながら、韓国の株式市場はボックス圏から抜け出すことができませんでした。その原因として、高成長期には良い方向に働いていた財閥経営が、現在では一部分に対しマイナス面に影響しているコーポレート・ガバナンス問題が指摘されています。
2020年以降、台湾株式市場はTSMC(台湾:2330)などの代表される半導体企業のおかげで量的な成長を遂げ、日本株式市場も安倍政権以降、長期間にわたり推進されたガバナンス改革と資本市場の効率化により成長を遂げました。
それに対し、韓国株式市場はKOSPI指数(韓国総合株価指数)が2021年に過去最高値となる3,300ポイント台を記録して以来、低迷し続けています。韓国の個人投資家も韓国株式市場に対する失望と不信を強めています。
コリアディスカウントに対する対策
コリアディスカウントの原因として取り上げられている小口株主の権利保護などを解決するために韓国の政治家も対策を提示しましたが、与党である「国民の力」と野党である「共に民主党」は異なるアプローチを取っています。
与党である国民の力は、資本市場法の改善、現在保留中の金融所得課税の完全廃止を主張しています。資本市場法の改善は、大株主と小口株主の利益が衝突する特殊な状況を資本市場法に明記し、小口株主の権利を保護するという内容です。
現在、韓国は米国や日本と異なり、現地の小口株主に対して株式のキャピタルゲインに課税していません。売買の際に取引税として売買代金の0.3%を徴収しています。「金融投資所得税」という新しい金融所得課税システムを前政権である文(ムン)政権が導入しようとしましたが、国民の力は、韓国の個人投資家の収益率の悪化を招くと批判しました。必要不可欠な規制のみを設定し、投資の障害を最小限に抑えようというのが現在の与党の意見です。
これに対し、野党である共に民主党のアプローチは異なります。野党側は、商法改正による根本的な改善を要求しています。韓国商法第382条第3項の文言には、「取締役は法令と定款の規定により会社のためにその職務を忠実に遂行しなければならない」という内容があります。野党側は、「会社のために」という文言に「株主」を追加することで小口株主の保護を実現しようとしています。
尹(ユン)大統領の戒厳令宣言以降、混乱した韓国の政治状況の中で、コリアディスカウント解消策の行方はどうなるかはその先を読むのは困難に思えます。
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