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Aizawa Market Report 経済成長の加速を目指すベトナム
2025.01.30 (木)
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経済成長の加速を目指すベトナム
1月6日、ベトナム国家統計総局はベトナムの2024年10~12月の実質GDP成長率が前年同期比+7.55%、通年の実質GDP成長率が前年比+7.09%(推計値)になったと発表し、政府当局が昨年初に設定した通年の成長率目標を達成した。通年の分野別の成長率を見ると、サービス業が前年同期比+7.38%、鉱工業・建設業が同+8.24%、農林水産業が同+3.27%と、9月に上陸した超大型台風「ヤギ」など自然災害の影響で農林水産業が伸び悩んだものの、好調な輸出と生産、消費活動の拡大を追い風に鉱工業・建設業とサービス業の成長が目立った。
2025年の実質GDPの成長率目標については、昨年11月にベトナム国会が前年比+6.5%~+7.0%(努力目標は+7.0%~7.5%)と決議した後、12月にファム・ミン・チン首相が「8%以上の成長を目指す」方針を示し、今年1月にグエン・ホア・ビン副首相が「政府が取り組む8つの重点項目」(下図参照)を発表するなど、経済成長の加速を目指していく姿勢を強めた。
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8つの重点項目の中で、ベトナムの経済・株式市場にとってとりわけ好影響が期待されているのは「2.マクロ経済の安定化・経済成長の促進」と「4.戦略的インフラの開発」の2つだ。前者はFTSEラッセルによるフロンティア市場からセカンダリー・エマージング市場への格上げを意識した取り組みと思われ、その実現に向けて様々な制度整備・政策支援が期待できそうだ。また後者は高速道路の総延長を3000kmに拡大するほか、通信ネットワークの整備や南北高速鉄道の敷設(2027年着工開始予定)、原発プロジェクトの再開も中長期にわたって経済成長を後押しする見通しだ。
一方、2025年のベトナム経済にとって最大のリスク要因は、米国の貿易政策の変化がもたらす外需の不透明感だろう。昨年ベトナムの輸出総額は前年比14.3%増の4055億米ドルと過去最高を更新し、国内での生産増を通じて経済成長を後押してきただけに、もし第2次トランプ政権による追加関税の標的となれば成長の勢いが大きく鈍化する可能性がある。また最近米国の利下げペース鈍化観測を背景にドン安基調が続いているが、ドン安はベトナムの輸出にとって有利である反面、株式市場(通貨安・株安)やドル建て負債が多い業種にとって不利の側面もあり、これらのリスクに留意が必要と考える。
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