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Aizawa Market Report 2025年のアジア新興国の経済見通し
2024.12.26 (木)
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2025年のアジア新興国の経済見通し
12月11日、アジア開発銀行(ADB)はアジア新興国のGDP成長率とインフレ率に関する最新の見通しを発表した。同行の発表によると、2024年と2025年のアジア新興国全体のGDP成長率予想は前回(9月予想)に比べてそれぞれ0.1ポイント引き下げられ、緩やかなペース鈍化が見込まれるも総じて堅調な成長を維持する見通しだ(下図参照)。
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国別の成長率予想を見ると、新興国の中で最大の経済規模を誇る中国は住宅の在庫調整長期化や個人消費の低迷、米国との貿易リスクなどにより景気の減速基調が続くものの、政府当局が9月以降に発表した一連の景気対策への期待から予想が据え置かれた。一方韓国は自動車産業のストライキと主要輸出先の需要減速、インドは金融引き締めによる国内景気への悪影響が懸念された形で、2024年と2025年の成長率予想が共に下方修正された。
東南アジアでは、インドネシアとマレーシア、フィリピンはインフレの沈静化と内需の回復、公共投資の増加などを背景に国内経済が底堅く推移しており、2025年にかけて4%台~6%台の安定成長が見込まれている。またベトナムは対外輸出の拡大と公共投資の加速を追い風に、2024年と2025年の成長率予想がそれぞれ6.4%と6.6%に(0.4ポイントずつ)上方修正された。
このようにアジア新興国の経済見通しは概ね安定しているものの、アジア開発銀行(ADB)は2025年の主なリスクとして、①米トランプ次期政権による貿易、財政、移民政策の変更、②地政学的緊張の高まり、③中国の不動産市場の継続的な脆弱性などに懸念を示した。その中で米トランプ次期政権による追加関税と拡張的な財政政策、大型減税、違法移民の取締強化は、米国のインフレ再燃・労働市場の需給ひっ迫のみならず、アジア新興国にも実体経済・金融市場の両面でネガティブな影響を及ぼすことが予想される。
足元、アジア新興国では米FRBの利下げペース鈍化観測(12月のFOMCで2025年の利下げ予想回数が4回から2回に引き下げられた)を背景にドル高・アジア通貨安が再び進行しており、米トランプ次期政権の動向次第で2025年にアジア通貨安が一層進行し、ASEANのインフレ再燃につながるリスクに留意したいところだ。また株式市場では、米金利高止まりならばアジア新興国の投資魅力が相対的に低下し、中国やASEAN市場からの資金流出につながる可能性があるため、投資するのにあたって「内需・好業績」、「低バリュエーション・高配当」などの分野に的を絞り保守的なスタンスで臨みたい。
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