アイザワ ほっと マーケットアジア Asia Market Strategy 2022年10月
2022.10.21 (金)
アジア新興国は、悪材料と共存しながら難しい政策運営が続く見通しか?
ここ数か月は、世界的には新型コロナウイルス問題、ロシア・ウクライナ問題など、問題山積みという状況が続いています。経済、株式市場ともに不安定ですが、そのなかで目立つのが、通貨の下落です。
もともとアジア新興国では、先進国に比べて通貨が売られやすい傾向がありますが、直近は英国ポンドや日本円も大幅下落となるなど、通貨下落はほぼ世界的な流れで、自国通貨安というより米ドル高といえるでしょう。
各国ともに通貨安となっていますが、10月17日には、ベトナムは通貨ベトナムドンの1日の変動幅を5%に引き上げました。世界的に通貨ボラティリティが大きくなっているなかでの政策変更で、通貨安の流れに拍車をかけています。ベトナムドンの対米ドルレートは、史上最安値となっています。当面、通貨ベトナムドンは通貨安基調になると思われます。
とはいえ、ベトナムの景況感は悪化しているわけではなく、直近の経済指標は良好です。2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前年同期比13.67%でした。鉱工業生産や小売売上高の9月月間データなども高水準で、経済指標をみる限り景況感は比較的良好とみてよさそうですが、問題はインフレです。
9月29日に発表された9月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比3.94%でした。ちょうど新型コロナウイルス問題が本格化しはじめた頃のインフレ水準となっています。この水準は世界からみれば極端に高いレベルではありませんが、ベトナムはもともと一方通行にインフレが進む傾向があるため、要警戒です。今後もベトナムは、インフレ、通貨変動を気にしながら、難しい政策運営を余儀なくされそうです。
インドネシアで開催されるG20サミットに向けて準備進む
11月15日からは、インドネシアでG20サミットの開催が予定されています。今の世界情勢からみて、通貨不安、インフレ、ロシア・ウクライナ問題などが主要議題になると予想されます。直近開催されたG20など世界主要国の会合をみる限り、大きな成果は期待できませんが、注目イベントのひとつです。
なお、このたびの会合の議長国であるインドネシアでは、着々と準備が進められています。そのひとつが会合におけるEVの活用で、直近、同会合でインドネシア政府が使用するオフィシャルカーとして、トヨタから143台のEVが納車されました。EVの利用で、脱炭素を世界にアピールする方針です。G20での世界へのアピールを機に、インドネシア国内でのEVシフトは本格化してくると予想されます。
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