アジア株週間トピックス 2023年3月27日号
2023.03.27 (月)
岸田首相がインドを訪問し、首脳会談を実施
二国間の関係強化などで一致か?
2023年3月20日に日本の岸田文雄首相はインドを訪問し、首都・ニューデリーでナレンドラ・モディ首相と会談を行ないました。経済や安全保障の分野で二国間関係の連携を強化することを確認したほか、高速道路建設計画に対する円借款の書簡をインド政府と取り交わしたもようです。
岸田首相がモディ首相と対面で会談するのは今回で4回目となり、訪印は昨年3月に次いで2回目、日本のインド重視の方針が明確に示されているといえます。
米国の銀行破綻はインド経済・IT業界に痛手か?
3月半ばに米国のシリコンバレー銀行(SVB)など数行の銀行が破綻、世界的な金融不安につながっています。インド経済、企業に対する直接的な影響は少ないとみていましたが、インドのIT業界大手企業である、タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)やインフォシス(INFO)などが痛手を受けそうです。両社とも米国の銀行を大口顧客として抱えているためです。
今後、銀行など主要産業にIT関連投資を減らす動きが出てくるようであれば、タタ・コンサルタンシー・サービシズやインフォシスをふくめ、インドのIT業界全体に痛手となりそうです。
インドの製造企業のうち約半数は2023年1~3月の増産を計画
IT業界の先行き見通しは不安定ですが、インド経済全体が低迷しているわけではありません。3月21日にはインド準備銀行(RBI)が最新の月報を発表し「インド経済について楽観的な見方を維持している」との見方を示しました。
またインド商工会議所連合会(FICCI)が国内の製造企業(400社強)を対象に実施した調査によると、回答した企業のうち約50%が、2023年1~3月期の生産量は前年同期に比べて増加する、と回答しています。高金利、物流コストの増加など不安要素はあるものの、設備稼働率や投資計画は改善している、と予想している企業が多いようです。
直近はインドの高成⾧、よい意味でのグローバル経済からの隔離、人口の多さなどを評価する国内外でのメディア報道が目立っていますが、FICCIの調査をみるかぎり、多くの国内企業も先行きを強気にみていると思われます。
モディ政権は3期目に向けて視界良好
2023年2月の北東部3州の議会選挙で与党が圧勝
直近、インド各州では議会選挙が行われています。2023年2月には北東部3州(トリプラ州、メガラヤ州、ナガランド州)で議会選挙が実施され、連邦与党であるインド人民党(BJP)が予想を上回って議席を獲得しました。モディ首相に対する高い人気が与党に対する高い支持につながっていると思われます。
2024年には連邦下院選挙が予定されていますが、この度の議会選挙結果を受けてモディ政権の続投(3期目入り)見通しが強まっています。モディ首相の行なっている政策に対しては国内外から評価する声が多く、続投が確定すればインド経済にとってプラスに働くと予想されます。
今後イベントを機に投資制限緩和に期待か?
折しも、2023年5月のG7首脳会議(広島サミット)では日本が、2023年秋のG20ではインドが議⾧国となります。両国が表舞台で存在感を高めるきっかけになりそうです。
今の時点でインド株へ投資するには一部の個別株ADR(預託証券)や投資信託など投資手段が限定されています。今後はこの状況が緩和されて、投資の壁が低くなることを期待したいものです。
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