アジア株週間トピックス 2023年3月10日号
2023.03.10 (金)
ベトナムの新国家主席はトゥオン氏に
フック国家主席の後任がようやく決定
今年3月2 日にベトナムで国会が召集され、1月に解任されたグエン・スアン・フック氏の後任として、ボー・バン・トゥオン氏が新たな国家主席に就任することとなりました。
このたびの人事確定での注目ポイントは次の3つの点です。
政情の安定、若さ、対外関係の変化に注目か
まず1つめの注目ポイントは主要人事が確定したことによる政情の安定です。以前からベトナムは党書記⾧、国家主席、首相、国会議⾧の4人による集団指導体制(通称:四柱体制)を取っています。主要ポストが確定したことで、ベトナムの政治の安定が期待できそうです。
2つめのポイントは若さです。この度新国家主席となったトゥオン氏は、現在52歳と共産党最高指導部の中で最も若く、1945年のベトナム建国以来史上最年少の国家主席となりました。若手のパワーという点でも注目されます。
そして3つめのポイントは対外関係の変化です。トゥオン氏はグエン・フー・チョン党書記⾧の側近といわれており、この度の起用によって、これまでは米中との間でバランスを取っていたベトナムですが、今後は中国寄りの姿勢に変わってくる可能性があり、今後の対中関係を考えるうえでも注目される点です。
マレーシアのムヒディン元首相が逮捕
新型コロナウイルス関連の経済支援を巡る汚職が逮捕容疑か?
3月9日にマレーシア汚職防止委員会(MACC)は、ムヒディン・ヤシン元首相を逮捕した、と発表しました。MACCは、ムヒディン氏が首相在任中に新型コロナウイルス関連の経済支援策を巡る汚職にかかわった疑いがあるとみて捜査していましたが、このたびは「クロ」の可能性が高い、と判断されたようです。
マレーシアでは、2018年に「ナジブ・ラザク元首相が政府系ファンドの汚職事件で逮捕・起訴された」というケースもあり、今回はこれに次ぐ政府系要人の逮捕となりました。今後、マレーシアが経済の正常化を目指していく上で不安定な政情が景気回復の足かせになりそうです。
なお、マレーシアでは、3月9日に金融政策委員会が実施され、政策金利は2.75%に据え置かれることとなりました。前回1月の金融政策で金利据え置きが発表されたときには意外感をもって受けとめられていましたが、このたびの据え置き決定はほぼ市場関係者の想定内でした。ただ市場では、中銀は利上げの停止を⾧期化させず、今年の4~6月期には利上げを再開するのでは、と予想する向きもあります。
次回(5月3日予定)の金融政策委員会でどのような判断が下されるか、当局の決定が注目されます。
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