アジア株週間トピックス 2023年6月12日号
2023.06.12 (月)
タイの2023年5月CPIは前年比+0.53%
タイのインフレは落ち着いた水準、利上げは最終局面か
6月6日、タイは2023年5月のCPI(消費者物価指数)を発表しました。前年同月比0.53%と、5か月連続で水準が鈍化、21か月ぶりの低水準なっています。世界的に見てもタイのインフレ率は低いレベルで、タイ中央銀行の物価目標レンジ(1~3%)を下回っています。今回発表されているCPIをみるかぎり、タイのインフレ懸念はかなり減っているとみてよさそうです。
なお、5月末にはタイ中央銀行が金融政策委員会を実施し、利上げを決定しました。0.25%の利上げで、1.75%から2.0%に変更されています。ただ、利上げ後の政策金利水準(2.0%)は世界的にみても低い水準で、タイ経済への悪影響を懸念するようなレベルではありません。次回の金融政策決定会合は8月2日に実施される予定ですが、今のインフレ状況が続くようであれば、追加利上げが行われる可能性は低いとみています。
フィリピンのCPIは高水準が続く
フィリピンのインフレは高水準で利上げ警戒が続く
タイと同じく、フィリピンも6月6日に5月のCPIを発表しました。前年同月比6.1%と、4か月連続で水準は鈍化したものの、水準をみるかぎりインフレが鎮静化しているとはいえない状況です。
フィリピン中央銀行は2023年のインフレ目標レンジを2~4%と定めているため、現状のインフレ率は目標を上回っているということになり、当面インフレに対する警戒が続きそうです。6月22日には金融政策委員会が予定されていますが、インフレ警戒の利上げが行われる可能性があると思われます。
世界銀行、OECDが相次いで最新の世界経済見通しを発表
6月6日、世界銀行が最新の「世界経済見通し」を発表しました。2023年の世界GDP成⾧率見通しは2.1%と、今年1月に公表された1.7%から上方修正された一方で、2024年については2.7%から2.4%に引き下げられています。 また、6月7日にはOECD(経済協力開発機構)が「世界経済見通し」を発表しました。2023年が2.7%と、前回予想時の2.6%から上方修正、2024年は前回予想据え置きの2.9%でした。
世界銀行、OECDの発表に共通しているのが、足元の経済状況は堅調であるものの、先行きは不安定とみていることです。物価高、金融市場の動揺などがリスク要因として残っているようです。国際的金融機関の見通しのとおり、2024年あたりまでは不透明材料が世界経済にとって重石になる、という状況が続くと予想されます。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。