アイザワ ほっと マーケットアジア Asia Market Strategy 2022年6月
2022.06.22 (水)
世界経済は、不安定な状況が続く
ここ数か月、世界では新型コロナウイルス問題、ロシア・ウクライナ問題、インフレ、利上げ連鎖、と問題が山積みという状況は変わっていません。一部、新型コロナウイルスに対する警戒は薄れつつあり、規制緩和や経済正常化などの動きも出てきましたが、まだ本格実施とは言えません。不安定な中で各国の模索が続いています。
直近顕著になっているのが、インフレと利上げです。米国が6月10日に発表した5月のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比+8.6%と、約40年ぶりのインフレ水準を更新しました。その後、6月15~16日に実施されたFOMC(米国の金融政策を決定する委員会)では、0.75%の利上げが発表されました。事前予想では0.5%の利上げでしたが、予想を上回るペースの利上げ幅でFRBの強い姿勢を示しました。今後、11月に中間選挙実施を控えている米国・バイデン政権にとって選挙対策も重要で、少なくとも当面は難しい政策運営が続くことになりそうです。米国の動向は、アジア新興国への影響が大きく、今後の政策運営が注目されます。
アジア新興国でもおおむね状況は米国と同じで、特にインフレが深刻なのがタイです。6月6日に発表された5月のCPIは、前年同月比+7.1%と、2008年7月以来ほぼ14年ぶりのインフレ水準となりました。6月8日に実施された金融政策委員会では、金利据え置きとなりましたが、委員のうち数人は利上げを主張するなど、委員同士の意見が分かれています。次回(8月10日)の金融政策委員会ではいよいよ利上げに踏み切る可能性が高いと予想されます。
なお、タイ政府は6月17日に、7月1日からマスク着用義務の原則廃止や、入国制限の一部撤廃、飲食店の営業時間延長など、大幅な制限緩和を実施すると発表しました。今後、インフレ抑制と経済正常化を両立していけるか、金融政策の行方も含めて同国の政策のかじ取りが注目されます。
インドネシアの首都移転構想は実現できるか?
インドネシアは5月23日に、パーム油および関連製品の輸出を解禁すると発表しました。4月28日に輸出禁止を発表してからほぼ1か月弱での方針変更で、現場の混乱を招いています。インドネシアでは、今年初めに石炭輸出方針を打ち出してその後短期間で変更したというケースもあり、直近のインドネシアの政策にブレが目立つという印象です。
そのように不安定さの目立つインドネシアの政策ですが、直近着実に進められつつあるのが、首都機能移転計画です。同計画はジョコ政権、インドネシア政府にとって永年の悲願で、実現にこぎつけることができればインドネシアならびにジョコ大統領への評価が高まると思われます。6月15日には、農地・都市計画相を含め2閣僚を更迭すると発表しました。これまでは首都機能移転計画を進めていくうえで、土地収用の進捗遅れが大きな問題となっていたため、このたびの閣僚交替を機に問題解決が進むことが期待されます。
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