アイザワ ほっと マーケットアジア Asia Market Strategy 2022年4月
2022.04.13 (水)
世界の経済、株式市場はともに不安定な状況に
ここ数年間世界を悩ませてきた新型コロナウイルス問題に対する警戒感は薄れつつある一方で、ここ数か月は、米国の利上げ、ロシア問題、インフレに対する関心が高まっています。特に、不透明材料山積みのなかで、株式市場は不安定な値動きとなっており、年初からの下落率は顕著で米国ナスダック総合指数の年初来下落率は約19.6%、NYダウは9.3%でした。特にグロース株の不安定な値動きが目立ちました。
株安と同時に目立っているのが、為替の変動です。4月11日に、ドル円は125円を突破して円安が目立っていますが、アジア新興国でも、台湾ドル、韓国ウォンの下落が顕著になっています。特に大きく下落しているのが台湾ドルで、2021年4月12日時点の年初来下落率は5.4%に達しました。台湾中銀は3月17日に予想外の利上げを実施しましたが、その後も通貨安が続いています。「ウクライナ情勢の混乱に乗じて中国が台湾への圧力を強めるのではないか?」との見方が、通貨売りにつながっています。現状、台湾当局は、「ロシアの問題と台湾を結び付けるのは不適切だ」と訴えていますが、緊張関係が通貨売り圧力につながりやすいという状況が続いています。
また、先進国、新興国を問わず、多くの国でインフレへの警戒が高まっています。インドネシアは約1年ぶり、台湾は約9年6か月ぶり、韓国は約10年5か月ぶり、タイは12年7か月ぶりのインフレ水準となっています。各国ともに、エネルギー価格の上昇、輸送コストの高まりなどが続いており、連鎖的に多くのコスト要因になっていると思います。
ロシア問題、インフレ、通貨安などの不透明要因が、当面の経済、株式市場の重しとなっています。
タイは高インフレの中、観光関連の規制を一部緩和の方針に
タイの3月のCPIは前年同月比+5.73%と、インフレ加速が顕著になりました。もともと、資源輸入国であるタイは、物価が資源価格の影響を受けやすい傾向があります。現在のタイの政策金利は、0.5%と史上最低水準で、今後はインフレ抑制のために利上げに踏み切る可能性が高いと思われます。
不安要素が多い中、タイは徐々に規制を緩和し始めています。2021年11月1日から、ワクチン接種証明書提示を条件に、低リスク国64か国からの外国人受入れを開始しました。また、4月1日から、訪タイ時の、PCR検査での陰性証明提示を不要にする、というタイ保健省の提案を承認しました。タイ経済において観光関連収入の占める比重は大きく、今後も、タイ当局の観光関連政策の行方が注目されます。
ご留意事項
免責事項
本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終決定は、お客様ご自身による判断でお決めください。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予告なく変更することがあります。このレポートの権利は弊社に帰属しており、いかなる目的であれ、無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。