アイザワ ほっと マーケットアジア Asia Market Strategy 2022年2月
2022.01.31 (月)
世界的に株式市場は荒れ気味に
2022年1月5日に公開された2021年12月開催の米国FOMC 議事要旨を受けて、金利引き上げペースの加速観測が高まったことで、世界的に株安の流れとなっています。特に、ハイテク、グロース関連株の下落が大きく、米国ナスダック総合指数の下落率は昨年11月からの下落率は約14.3%に達しました。
世界的にリスクオフの流れが強まっている一方で、直近目立つのが原油価格の上昇です。1月19日のWTI原油先物価格は、86.90ドル/バレルと、約7年半ぶりの高値水準となりました。同時に、期近物と期先物の価格差が拡大しており、先高感が強まっていえるでしょう。1月11日に米エネルギー省が発表した月報では、2022年第2四半期あたりから世界の原油需給は改善する、との見通しが示されました。その一方で、OPECとロシアで構成されるOPECプラスは2022年末までの減産延長で合意しています。原油高は企業にとってのコスト圧迫、インフレの進行などにつながりかねず、当面の世界の不安要素のひとつとなっています。
インドネシアは、当面はインフレ、米国FRBの動きを警戒した対応が続く?
足元、米国動向、インフレの推移などに対して警戒を強めているのがインドネシアです。同国で1月19~20日に開催された金融政策委員会では、政策金利を11会合連続で据え置くとした一方で、預金準備率を引き上げると発表しました。通貨防衛のための対応で、インドネシア当局は通貨の安定を重視しているといえます。
以前、2013年5月に米国FRBがテーパリング開始を示唆(開始は2014年1月から)して以降、経常赤字国(フラジャイル5)の通貨が大幅安となりましたが、その代表格のひとつがインドネシア・ルピアです。インドネシア・ルピアの対ドルレートは約25%下落と、主要国の中で突出した下落となりました。この経験から、インドネシア当局は米国の金融、自国のインフレ動向に対して過敏になっているといえます。今後インドネシアは、自国の景気やインフレ動向、米国の金融動向などをみながら、難しい政策運営を余儀なくされそうです。
多くの不安材料を抱える中、インドネシアの悲願であった「首都機能移転計画」が動き始めています。1月17日には、移転候補地の名称を「ヌサンタラ」とするとの政府発表がありました。インドネシアの政策は予定より遅れるケースが多く、確実性が高いとはいえませんが、今後、関連企業に対して新たな収益機会をもたらす大プロジェクトで、希望をもって今後の推移を見守っていきたいと思います。
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