アジア株週間トピックス 2022年3月28日号
2022.03.28 (月)
自国のインフレ、米国の利上げなどを警戒か?
台湾はサプライズ利上げを決定
前々週になるが、3月17日に開催された金融政策委員会にて、台湾中銀は利上げを決定した。政策金利は、0.25%引き上げられ、1.375%となった。同行による利上げ実施は2011年7月以来約11年ぶり。台湾は、政策金利を変更する際、0.125%の調整にする傾向があるため、このたびの利上げ幅は大きかったといえるだろう。直近は、米国や英国など主要国も利上げを発表したが、多くの国は利上げ決定理由のひとつとして、インフレに対する警戒感を挙げている。台湾が直近発表した2月のCPIは2.36%とまだ懸念される水準ではないが、先行きの輸入インフレ圧力の高まりへの警戒を示している。台湾経済は、世界の経済状況との相関性が強い傾向があり、今後発表される同国のインフレ水準(3月のCPIは4月8日発表予定)、今後の金融政策が注目される
各国の為替はおおむね自国通貨安が顕著に
世界各国で通貨安が鮮明に
直近は、円安進行が目立っているが、安くなっているのは円だけでない。タイは2017年以来のバーツ安に、台湾はほぼ1年ぶりの台湾ドル安に、韓国は2010年以来の韓国ウォン安水準になっている。特に直近通貨安が進んでいる、タイ、韓国は、ともにインフレの進行も目立っている。タイでは2月のCPIが5.28%と、2008年以来ほぼ14年ぶりの5%超えになっているほか、韓国の3月のCPIは3.7%と、ほぼ2011年以来のインフレ水準で、自国通貨安要因のひとつになっていると思われる。台湾のインフレ、金融政策のほか、今後は、タイや韓国のインフレ、通貨の推移が注目される。
東南アジア各国は入国制限緩和方針を鮮明に
その他、アジア新興国に関する話題
シンガポール政府は3月24日に、新型コロナウイルスのワクチン接種を条件に、31日から、全ての国からの旅行者を隔離なしで受け入れる、と発表した。東南アジアでは、インドネシア、フィリピンなど計7か国で、隔離なしでの入国が認められることになる。今後の往来増加、観光関連需要の増加が期待出来そうだ。国内経済のなかで観光関連業の比率が多い国の代表格として挙げられるのが、タイで、24日に発表された新型コロナウイルス感染者は27000人強と高水準であった。しかし、そのなかで、3月1日からは外国人旅行者に対する制限を緩和、他の国と同様に、経済正常化を優先させる方針を明らかにしたといえよう。
まだ現時点では、このたびの制限緩和は見切り発車的な色彩が強く、100%評価できないものの、タイ観光業に関連する企業は恩恵を受けると思われる。観光関連需要がタイ経済、関連業界に与える影響は大きく、今後の政策の推移を見守っていきたい。
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