コリアインサイト マクドナルドよりも多い韓国のチキン店
2021.06.07 (月)
韓国を旅行したことがある方は、チキン店の多さに驚いたかもしれません。2019年2月時点で、韓国のチキン店の店舗数は約8万7000店舗と、マクドナルドの世界店舗数である約3万7000店舗を大きく上回っています。
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いて韓国への渡航が可能になったら、ぜひいろいろなブランドのチキンを味わってみてはいかがでしょうか?今回は韓国のチキン産業を紹介します。
「サムゲタン」からチキンフランチャイズの全盛期へ
韓国では1970年以降、本格的に産業化が進められるなか、大豆とトウモロコシが大量に流入され、豚、牛、鶏などの畜産業も発展しました。
養鶏産業といえば、1980年以前は採卵が主な目的でしたが、所得水準の向上とともに鶏肉の取扱量が増えていきました。また、1970年以前は大豆が高価なもので、なおかつ大豆油も珍しかったため、鶏を使った料理はサムゲタンのような鍋料理が中心でした。しかし、1971年に初めて豆油が発売されたことにより、鶏と豆油を使った揚げ物が広く食べられるようになりました。
一方で、多くの韓国人は脂っこい料理が苦手なため、いわゆるフライドチキンよりも味つけチキンの方が好まれ、改良が重ねられていきました。それが現在の韓国のチキン産業につながっています。
チキンフランチャイズ最大手のキョチョンF&B
「キョチョンチキン」を運営するキョチョンF&B※(韓国:339770)は韓国のチキンフランチャイズ最大手で、2021年第1四半期(1~3月)は過去最高の売上高を記録しました。
同社が高成長している背景には、韓国の人口構成と食文化の変化があります。一人暮らしの増加や出前メニューの多様化、SNSを通じた体験の共有、欲しい物に対して出費を惜しまない傾向など、さまざまな要素がかみ合って急成長を成し遂げました。
加えて、コロナ禍で外食よりも出前が好まれる環境も追い風となっています。出前を代表するメニューであるチキンが恩恵を受けているのです。
2015年から2018年にまでの飲食フランチャイズの売上高推移を見ても、チキンフランチャイズが他のフランチャイズに比べて高い成長率となっていることがわかります。
同社は今後の成長戦略として、HMR(Home Meal Replacement:すぐに食べられる調理済み食品や家庭で簡単に調理して食べられる食品)とオリジナルビールの開発に乗り出しています。
年々増加する一人暮らしや二人世帯、利便性を重視する若者向けに、健康やダイエットを意識した食品やおかずなどのHMR製品の開発を強化する方針です。さらに、チキンに欠かせないビールも開発し、売り上げを拡大する意向です。同社は海外進出にも積極的なため、食の韓流を起こすかもしれません。
※キョチョンF&Bはアイザワ証券の取り扱い銘柄ではありません。
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