コリアインサイト メタバースが新たな世界を切り拓く
2021.05.10 (月)
「メタバース」という言葉を知っていますか?「メタバース」とは、SF作家のニール・スティーバンスの作品に登場するインターネット上の仮想世界のことで、架空・抽象を意味する「meta」と世界を意味する「universe」の合成語です。
「メタバース」には大きく以下の4つの概念があります。
1) 拡張現実:
現実の空間に2Dまたは3Dの仮想の物体が重なって見える。
2)ライフ・ロギング(Life Logging):
物と人の日常をデジタルで記録・蓄積する。
3)鏡像世界(ミラーワールド):
現実世界をそのままデジタル化された仮想の世界に表現する(グーグルアースなど)。
4) 仮想世界:
現実を模した世界をデジタル化された仮想の世界に3Dグラフィックで構築する。
世界的にメタバース関連技術やビジネスが急成長している中で、韓国の関連企業(主に韓流関連)がどのようなビジネスを展開しているのか見ていきましょう。
サービスとコンテンツ
世界的に有名なオンラインゲームのひとつに「Robulox(ロブロックス)」があります。ブロックで構成されたサイバー空間でアバターを作り遊ぶゲームです。米国ではZ世代の55%がプレイしており、アクティブユーザーが月間で1.5億人、1日あたり4,000万人に上ります。
韓国にも「ZEPETO(ゼペット)」というサービスがあります。サービスが開始されてからまだ3年しか経ってませんが、世界中は2億人のユーザーがいます。ユーザーの中心は10代で、未来のコンテンツ消費市場のひとつのジャンルとして位置づけることができます。
ゼペットを運営するNaver Zは、最近、ハイブ(旧ビックヒット・エンターテインメント、韓国:352820)と、YGエンターテインメント(韓国:122870)から120億ウォン、JYPエンターテインメント(韓国:035900)から50億ウォンの出資を受けました。コロナ禍の中で、エンターテインメント会社はこのサービスを使い積極的に活動しています。
日本でも人気の韓国のガールズグループのBLACKPINKは、昨年9月に女優・歌手のセレーナ・ゴメスとコラボレーションした新曲「Ice Cream」のダンス映像をゼペットで公開。再生回数は1億回を超え、ゼペットで開催された仮想ファンサイン会には4,600万人を超えるユーザーが訪れました。そのほか、韓国の男性ヒップホップグループのBTSも、ゼペット上でBT21ワールドを展開しています。
ハードウェア
これまで複数のVRゴーグルやVRヘッドセットが発売されてきましたが、装着の不便さやめまい、コンテンツ不足などにより盛り上がりに欠けています。当初のスマホに接続して利用するものから、より利用者が多いPC接続型へと商品が転換されたものの、高価格な上に閉鎖的な使い勝手などから思うように普及していません。
サムスン電子やソニー、オキュラスがVRデバイスを発売してから6~7年が経過しました。技術の発展とともに使用上の問題が解決しつつあるなか、「メタバース」と融合して、コンテンツ、プラットフォーム、ネットワーク、デバイスが繋がる革新的なサービスが生まれようとしています。
将来は
現時点で、「メタバース」は事業化しやすいゲームなど中心に発展していますが、将来的にはコンテンツ事業にとどまらず、私たちの生活全般に関わってくる可能性が高いでしょう。コロナ禍において、一般に改革するまでに10年程度は必要と思われることを、1年で成し遂げるように強いられるような環境のなか、「メタバース」はより注目すべきテーマではないでしょうか。
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