コリアインサイト 韓国で巻き起こるゴルフ旋風
2022.04.28 (木)
コロナ禍で海外旅行ができなくなり、海外への出国人口は2020年に前年比80%減少しました。一方で、韓国国内のゴルフ場利用者数は2020年に同12.1%増、2021年に同8.2%増となり、なんと年間で5,000万人を超えました。特に若者や女性のゴルファーが増加しています。
新発売された日本製のゴルフクラブは原材料の需給問題もあり品薄状態となっています。また、ゴルフ場の予約はなかなか取れずまさに旋風が巻き起こっています。今回は韓国のゴルフビジネスについて見ていきましょう。
コロナ禍をきっかけにゴルフ人口が急増
コロナ禍で海外旅行に行くのが難しくなるなか、屋外で少人数で楽しむことができるゴルフが人気を博し、ゴルフ人口の急増に繋がっています。2019年までは緩やかな増加傾向だったゴルフ人口は、2020年に4,600万人、2021年には5,000万人を突破しました。
急増するゴルフ人口に対してゴルフ場の数が足りず、足元の2年間は需要超過となっています。これに伴いゴルフ場利用料も大幅に値上がりしました。ゴルフ場の営業利益率は2016年の12.4%から2020年には31.8%まで上昇しました。実際にゴルフ場に行くと、施設修繕や拡張工事が盛んに行われています。
スクリーンゴルフも急成長
コロナ禍前から増えていたスクリーンゴルフ(シミュレーションゴルフ)場も大幅に増加しました。韓国を代表するスクリーンゴルフ会社のゴルフゾーンの加盟店数は、2018年の910店から2021年は1,768店まで急増しました。
スクリーンゴルフは、利用料金の高いフィールドゴルフを補完・代替するビジネスになっています。スクリーンゴルフのシーズンは気候が厳しい夏と冬で、さらに、スクリーンゴルフ場で練習してからフィールドに出るケースも一般的になりました。近年はスクリーンゴルフのオンライン大会も開かれるくらいになっています。
日本のLINEのように韓国で利用されているカカオもスクリーンゴルフ産業に参入し、MZ世代(注)を中心にマーケティングに拍車をかけています。
注)MZ世代とは、1980年から1990年代初頭に生まれた「ミレニアル世代」と、その後の1990年代後半から2010代半ばに生まれた「Z世代」の2つを合わせた世代。
ゴルフとITの融合
コロナとITの融合はスクリーンゴルフだけではありません。VCという会社は距離測定器シミュレーターなどフィールドで使えるIT機器と練習で使う機器など、多様な商品開発をしています。特に距離測定器は、1日に何度も移動するピンの位置を通信技術によってリアルタイムで把握し、GPSの数メートルの誤差を数センチ単位まで縮めるといった先端IT技術も導入しています。今後輸出も増えていくのではないかと思われます。
今後の見通し
韓国のゴルフ場利用料(フィールド)は急ピッチで値上がりしてきました。いまや、週末に首都圏でゴルフをすると、ゴルフ場の非会員なら4人で10万円以上の利用料を払わなければなりません。しかも、予約を取るのも困難です。
今後コロナ禍が落ち着いてくれば、海外ゴルフ旅行が増え、国内のゴルフ場は一部需要が減ることが予想されますが、ゴルフ人口と海外ゴルフ旅行増加でゴルフ用品やウェア、IT機器の需要は堅調に推移するでしょう。
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