コリアインサイト K-Beauty(韓国コスメ)人気に注目
2022.10.11 (火)
K-Beauty(韓国コスメ)人気に注目
韓国コスメは近年、韓流ブームを追い風に特に中国で売上げを急速に伸ばしました。しかし、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備を巡る対立が表面化した頃から鈍化し、コロナ禍なども逆風となり、厳しい状況が続いています。
一方で、足元、日本向けの輸出が急速に伸びていることから、韓国コスメは新しい成長局面に入ることが期待されます。中国向けの輸出鈍化により、停滞が懸念されていた韓国コスメ市場に再び注目すべきタイミングが来ていると思われます。今回は、K-Beauty(韓国コスメ)市場について見ていきましょう。
中国向けが鈍化、半面、世界全体では増加基調を維持
2021年の韓国の化粧品輸出額は91億8,357万米ドルで、世界第3位でした。なお、第1位はフランスで179億米ドル、第2位は米国で96億米ドルとなっています。過去5年間で、韓国の輸出額は16.7%増加した一方で、フランスは6.5%の増加にとどまり、米国はほぼ横ばいでした。
また、中国向けの香料・化粧品輸出額を見ると、2022年1~8月累計は前年同期比11%減と、マイナス成長となっています。中国向け輸出の状況は、2013年から2016年までの高成長期、2017年以降のTHAAD配備を巡る対立期、2020年以降のコロナ禍に分けられます。中国向けはすでにピークアウトしており、しばらくは輸出増加が見込みづらい状況です。
日本・米国・東南アジアでの成長
中国向けの輸出が鈍化する中、逆に伸びている国・地域があります。それは日本、米国、東南アジアです。
特に日本向けの伸びは目を見張るものがあります。昨年、日本のコスメ市場では、それまで国別輸入額のトップだったフランスを抑えて、韓国がトップに浮上しました。日本の化粧品輸入額に占める韓国の割合は、2015年の8%から、2018年の16%、2021の31%、2022年1~7月の33%へと拡大しています。
そのほか、韓国コスメは米国でも輸入額を伸ばしており、2022年1~7月の輸入額におけるシェアは14%と、15%のフランスを猛追しています。
韓国コスメが伸びる理由
韓国コスメが世界で売上げを伸ばしている理由は、何よりも韓流ブームでしょう。音楽・映画・ドラマの世界的な拡散を追い風に、韓国コスメに対する需要が高まっています。ネットフリックスでは、いまやトップ10圏内の大半を韓国ドラマが占める光景も不思議ではなくなりました。
日本では足元、韓国ドラマが主導する4回目の韓流ブームが到来しています。SNSなどでブームとなっている「渡韓ごっこ」(日本で韓国旅行気分を類似体験するお泊り会)や「トレカデコ」(韓国アイドルなどの「推し」のトレーディングカードをカードケースに入れてデコレーションしたもの)などの言葉の流行とともに、韓国コスメがより注目されるのではないでしょうか。
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