コリアインサイト スマホ新時代
2021.09.21 (火)
ここしばらく世間を驚かせるほど話題を集めたスマホの発売はありませんでしたが、このたびサムスン電子が新発売したフォルダブルスマホ(折りたたみスマホ)はスマホ業界に新風を巻き起こしています。
筆者が2年前に買い替えたスマホはギャラクシーノート10でした。その後発売されたスマホは外見も機能もあまり変わりがないように見え、購買意欲を掻き立てられるようなことはありませんでした。しかし、サムスン電子が発売した第3世代のフォルダブルスマホを見た瞬間に惹きつけられました。
今回は、品薄状態が続く新モデルの特徴と販売状況、今後の見通しについて解説します。
ギャラクシーZフォルダ3
昨年発売された旧モデルのギャラクシーZフォルダ2は、広げると大画面タブレットのように使えるなどの利便性はあるものの、厚みがあり重くて携帯しにくいなど不便な点が多いことも指摘されていました。
しかし、新モデルは持った瞬間に随分と改善されたと感じます。重さは282gから271gに軽量化され、広げたときの厚さは6.9㎜から6.4㎜に変更されました。数字だけでは些細な変化だと思われるかもしれませんが、実際に使ってみると随分と使いやすくなったと感じます。
さらにSペンと防水機能(IPX8)が追加され、価格は旧モデルより40万ウォン安い199万ウォンとなっています。Sペンの機能で固定顧客を確保していたギャラクシーノートシリーズは、今後新モデルに吸収されてシリーズは一旦終了するとみられています。折りたためることにSペン機能が加わったため、機能の幅が広がったにもかかわらず携帯しやすいことから、高機能スマホを求める顧客に大好評です。
ギャラクシーZフリップ3
コンパクトなデザインのこのモデルは、圧倒的に女性に好まれています。非常にコンパクトなサイズのため、化粧品感覚で携帯できるためです。
しかし、広げたときの画面サイズは大型スマホと比べて遜色ない大きさです。また、外側についているディスプレイも旧モデルに比べて大きくなり、楽曲再生の操作やメッセージの確認など活用の幅が広がりました。
折りたたんだときの厚さは旧モデルの17.3㎜から17.1㎜に、開いたときの厚さは7.2㎜から6.9㎜に薄くなり、価格も40万ウォンも安い125万ウォンとなっています。
販売状況
韓国国内の予約販売台数は、フォルダ3とフリップ3を合わせて90万台を超えました。特にギャラクシーZフリップ3は爆発的な人気で品薄状態となっています。9月に届くはずだったものが10月に延期されるなど、配送に遅れが出ており顧客のクレームも噴出しています。
また、中国でも予約販売を開始しています。中国でのサムスン電子製スマホのシェアは低く、2021年上期の販売シェアは約0.7%、販売台数は110万台にとどまりました。しかし、今回の新モデルはすでに予約だけで100万台以上に上っています。
一部中国メーカーでもフォルダブルスマホが発売されていますが、製品の完成度と価格に難があり、いまいち販売が伸びていません。サムスン電子はこのたびの新モデルの発売を機に、中国でのシェアを拡大する可能性があるでしょう。
フォルダブルスマホの今後の見通し
韓国の証券各社はフォルダブルスマホの出荷量見通しを相次いで引き上げています。具体的には、2021年に全世界で990万台(そのうちサムスン電子が940万台を占める)、2022年は1750万台を見込んでいます。2023年にはアップルの市場参入が予想されていることから、3000万台超となる見通しですが、先手を打ったサムスン電子にアップルがどう挑むのかが注目されます。
サムスン電子の第3世代のフォルダブルスマホは、日本でも10月に発売される予定です。近いうちに皆さんも体験できるのではないでしょうか。久々のスマホ業界の技術革新が楽しみです。
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