コリアインサイト 韓国防衛産業も韓流
2023.06.16 (金)
韓国防衛産業も韓流
ロシアのウクライナ侵攻と中国・台湾問題など、グローバルで緊張感が高まっているなか、韓国の防衛産業に注目が集まっています。
冷戦が終了してからは、欧米の主要国は戦争に備える在来式武器の生産を急減させましたが、その一方で、韓国は引続き有事に備える体制を維持しました。
具体的には、武器生産ラインを維持しつつ、技術開発を強化するなどです。
世界で韓国製武器に対する評価が高まりつつあり、この状況について申し上げたいと思います。
韓国の武器を導入するポーランド
ポーランドは2022年に、韓国の武器体系を大規模に導入しました。ロシアのウクライナ侵攻で不安を感じたポーランドは、迅速な武器の現代化が急務となっていました。もともと、ポーランドはアメリカの武器をメインに使っていましたが、価格が高すぎる、武器を引き受けるまでの時間がかかりすぎる、などの点で、不満に感じていました。
韓国製の武器は、米国より安い水準で、希望するだけの量を適切なタイミングで提供できるスピード感も評価されています。また、技術移転と現地生産が可能、という点も、世界市場で韓国製武器がシェアを高めている理由のひとつといえるでしょう。
ポーランドは2022年7月にK2戦車を1,000台、K9自走砲を648台、FA-50戦闘機を48台、続いて10月にはK239多連装ロケット288台、誘導ロケット1万発を契約しました。総額123億米ドルの大型契約でした。
さらに、2023年下期には、第2弾の契約も予想されています。
マレーシアは戦闘機を導入
戦闘機は制空権を掌握するために必須となっていますが、高額な導入コストがネックとなっています。韓国製の戦闘機には、訓練と攻撃の両方に対応した機体もあり、世界各国から人気を集めています。
韓国製の戦闘機である「FA‐50」は3,000万米ドルと、米国のF-16の5,300万米ドルに比べると約4割安い水準です。2023年2月には、マレーシアは「FA‐50」を18機の導入する契約を締結しました。また、今後追加で18機の導入も見込まれています。
そのほか、エジプトも36機の購入を検討していると知られています。この受注をきっかけに、アフリカと中東向けの進出が活発になると思います。
今後、世界で核が抑止される中で、在来式武器市場における国際競争は高まる可能性が高いと思われます。エンタメの市場で韓流がブームとなりましたが、防衛産業の分野でも韓国製が注目されやすい状況が続きそうです。
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