コリアインサイト 韓国の自動車産業の先行き
2023.12.15 (金)
韓国の自動車産業を代表する現代自動車グループ。
傘下の起亜自動車を加えた世界シェア(今年1~10月基準)は、7.7%と世界3位につけています。米国などの先進国での販売に加えて、東ヨーロッパで販売が急増しています。
しかしこの先進国では、1世帯当たりの自動車保有台数が1台を超えています。販売台数を増やすには限界があり、新規市場の開拓と生産の効率化が求められます。
今回は韓国自動車産業の先行きについて解説していきます。
アジア市場のポテンシャル
アジアの自動車市場は有望とみられます。中国を除いたアジアの1世帯当たりの自動車台数は0.3台、30億人以上の巨大市場が広がっています。
販売単価の高い欧米市場は、韓国自動車産業にとって重要なマーケットですが、潜在力の高いアジア市場は魅力的です。
現在インドと東南アジア地域の自動車工場では、3交代制で生産活動が行われています。生産性を高め、原価率を下げることで、現地でリードする日本勢と競争しています。
(出所:現代自動車グループ)
生産の効率化が進む
シンガポールにある現代自動車の工場では、ライン生産方式からセル生産方式への転換が進みます。ベルトコンベアを使った従来のライン生産方式は、生産モデルの変更に対して時間がかかるのが難点でした。
一方でセル生産方式では、小規模の独立した作業場で1台ずつ生産が行われます。さらにロボットやAIを活用することで、複数のモデルの生産にも柔軟に対応できる方式となっています。車体はインドネシアから取り寄せることで、インドネシアの工場から効率化を図っています。
今後3年間で米国や韓国国内で増産を予定しています。増産分の80万台は、このセル方式で生産される予定です。
(写真:現代自動車グループ)
来年は世界的な高金利の影響で、自動車需要の冷え込みが予想されますが、新規市場の開拓や生産の効率化によって相殺が期待されます。
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