Aizawa Market Report 中国金融当局は大規模な追加景気支援策を公表
2024.10.02 (水)
中国金融当局は大規模な追加景気支援策を公表
9月24日、中国人民銀行と金融監督管理総局、中国証券監督管理委員会は共同で記者会見を開き、金融面の支援を中心とする大規模な景気対策パッケージを公表しました(うち中国人民銀行の政策は下記参照)。これを受けて9月24日~26日にかけて上海総合指数は+9.2%、香港ハンセン指数は+9.2%と大幅に上昇するなど、中国本土と香港の株式市場で景気回復に対する期待が高まっています。
①政策金利と預金準備率の引き下げ
- 近く預金準備率を5ポイント引き下げ、金融市場に1兆元の流動性を供与すると同時に、年内市場の流動性に応じて0.25~0.50ポイントの追加引き下げを行う(うち大型銀行は8.5%から8.0%に)。
- 7日物のリバースレポ金利を7%から1.5%に引き下げ、同時にローンプライムレート(LPR)と預金金利が低下するように誘導する(0.20~0.25ポイント程度)。
②既存の住宅ローン金利と住宅頭金比率の引き下げ
- 既存の住宅ローン金利を平均5ポイント引き下げ、既存の住宅ローン金利を新規の住宅ローン金利の水準まで低下するよう商業銀行に働きかける(1.5億人に年間で1500億元の金利負担軽減)。
- 1軒目と2軒目住宅の頭金比率を一律15%とする(今までは2軒目25%)。
- 住宅在庫買取用の再融資制度(3000億元)の中央銀行出資比率を60%から100%に引き上げる。
③新たな金融ツールによる株式市場のテコ入れ
- 証券やファンド、保険会社向けにスワップ・ファシリティを創設し、これらの企業が保有する債券・株式ETFや指数構成銘柄などを担保に、中央銀行から国債など流動性の高い資産を調達できるようにする(初期の資金枠は5000億元)。
- 自社株買いを支援する再貸出制度(初期の資金枠は3000億元)を創設し、上場企業や主要株主の自社株買いを後押しする。
また中国人民銀行の政策以外に、金融監督管理総局と中国証券監督管理委員会のトップも管轄分野で成果(ハイテク・製造業向けの貸出増や粉飾決算取り締まりなど)が見られたとしたうえで、上場企業の市場価値改善やM&A促進、社会保障基金など中長期資金による株式投資に取り組んでいく意向を示しました。
今回の景気対策パッケージによって、国内の資金需要が刺激されるほか、住宅ローンの金利の低下を通じて住宅需要や消費回復も期待できます。政策の効力見極めには時間を要しますが、中国の景気減速に歯止めがかかれば、株式市場では成長の主軸となるハイエンド製造業に加え、電力インフラや消費関連株にも物色の波が広がりそうです。
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