China Market Eye 60年に一度の壬寅年
2022.02.21 (月)
寅年をアピールした北京五輪の開幕式
今年の中国の干支は寅(トラ)です。また、中国の伝統的な陰陽五行学によると、60年に一度の壬寅の年でもあります。十二支は二十四節気と合わせて太陽暦(旧暦)で季節を表す中国の伝統的な暦法で、中国では今でも庶民の生活に深く根付いています。
北京冬季五輪の開幕式は、二十四節気をテーマにした映像とカウントダウンから始まりましたが、これは中国の長い歴史や伝統文化の奥深さを世界にアピールした演出であると思われます。そして開幕式の終盤で、ギリシャ語の「オリンピック賛歌」を歌った子供たちが、虎頭帽(虎の頭の形をした帽子)を被り、虎がイメージされたジャケットと靴を着用していたのも、旧暦の寅年を迎える気持ちが込められていたに違いありません。
十二支のうち、寅は猛獣の王者である半面、非常に自信に満ち溢れ、陽気かつ勇敢で強運という好意的な印象を持ち、昔から親しまれています。また、虎は中国古代の故事に欠かせず、それにまつわることわざも枚挙にいとまがありません。「虎頭蛇尾」や「虎視耽耽」、「如虎添翼」、「竜騰虎躍」、「虎虎生威」、「狐借虎威」などはその代表例です。さらに、今年の「壬寅」には、草木が伸び始め生命力がどん底から立ち上がるというイメージもあります。
虎グッズが春節商戦を盛り上げる
中国では、春節(旧正月)の前からも寅年をモチーフにした飾りや、イベントが各地で盛んに行われ、トラ旋風が巻き起こっています。新年の挨拶では、「虎年大吉」や「虎虎生威」、「如虎添翼」などといった言葉を多く見かけました。
また、今年の春節商戦でも虎が台風の目となっています。虎のイメージを取り入れた関連商品は、おもちゃやお年玉から切手、飾り物、運勢グッズ、雑貨、宝飾品、洋服など、さまざまなものが販売されており、オンライン、オフラインを問わずに春節商戦を盛り上げています。
さらに、中国では、60年前の壬寅年(1961年)は、1959~61年の3年自然災害の終焉を迎えた年として記憶されていることから、2020年から始まったコロナパンデミックの状況とも重なって見えます。中国で続いたゼロ・コロナ戦略は未だに個人消費の回復を抑える重石となっているだけに、虎年である2022年こそ疫病の流行を終結させたいという人々の強い期待も込められているのでしょう。
海外ブランドも干支経済に注力
欧米諸国の人々にとっては、中国の干支文化はやや不可解に映るかもしれませんが、北京冬季五輪は中国の伝統文化に触れる良い機会になったのではないでしょうか。
郷に入っては郷に従え。中国の購買力の高まりを背景に、ここ数年、海外大手ブランドは軒並み中国の消費者の伝統や習慣を重視するようになっており、干支文化をブランドに取り入れようとしています。例えば、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの最新決算によると、中国を中心とした日本除くアジアの売上高は、2021年に2019年比で31%増と世界平均の14%増を大きく上回り、地域別構成比も35%に上昇しました。
2022年は運気が強いとされる壬寅年ですが、株式市場でも騰勢を予測する向きが多いようです。大手証券のクレディ・アグリコル証券の風水予想によると、香港ハンセン指数は「N字型」の展開になると予想しています(米利上げ観測で今のところ少し期待外れとなっていますが)。何より、今年こそ虎の威を借りてコロナウィルスを撃退してほしいものです。
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