投資のコンシェルジュ 第13回 日米株価&ドル円市場の行方
2022.11.22 (火)
日米株価&ドル円市場の行方《2022年11月下旬~12月下旬》
〔日本時間:2022年11月20日作成〕
12月下旬へ向け、(ロシア進軍の不確定要素を除き)米国株式市場の焦点は、引き続き金融政策の行方、そして、2022年第4Q決算へ向けたリビジョン(業績修正)の動向を挙げておきたい。
- 12/01(木):10月個人消費支出(PCE)物価指数が10月CPIと同様に低下を示すか。
- 12/02(金):11月雇用統計が景気減速を示す内容となるか。
- 12/14(水):FOMCの利上げ幅が市場予想通り0.50%へ縮小されるか。
上記の結果、1:下回る、2:非農業部門雇用者数の前月比減少、3:0.50%は、米景気減速を示す一方で、金融引き締め緩和の観測が強まり、株価を押し上げる結果になりやすい。
12月下旬の予想レンジは、①NYダウ:35,300ドル、②S&P500:4,300p、③NASDAQ:13,100p、④日経平均:30,700円、⑤ドル円:150.00円の各水準。①は3月高値、②③は8/16高値、④は9月高値の各水準を目標とし、一足先に200日移動平均(MA)を上抜けた①④に続き、②③も同上抜けを達成して年初来の下降トレンド終焉を確認したい。⑤は、11/10米CPI10月の低下がFOMCでの利上げ幅縮小観測を強め急落したが、依然、利上げは続き、併せて米10年債利回り再上昇必至とみて、日銀介入を試す水準への上昇を予想。
11/02、FOMCでは2022年6月から4会合連続となる0.75%利上げ(政策金利4.00%)と、歴史を新たに塗り替える政策を実施。パウエル議長は記者会見で、
- 早ければ次回(12月)、ないしその次の会合(2月)で利上げペースを縮小する。
- 「利上げ停止」について考えるのは時期尚早。
- 「ターミナルレート(最終利上げ到達点)」は9月会合時の予想を上回る可能性。
と発言。利上げ幅縮小への議論は、11/23の11月FOMC議事要旨公表で確認したいが、「いよいよ」の利上げ幅縮小に際し、市場に「緩和的」と受け取られないよう、「ターミナルレート引き上げ」という言葉でカバー。政策が「利上げ幅」から「ターミナル水準」へ移行したことを印象付けた。同日の株価はS&P500が-2%など下げで反応。
その後、11/10にCPIが前年同月比7.7%と予想7.9%を下回り低下、米10年債利回りが4.0%を割れと急低下、「利上げ幅縮小」を正当化。同株価は5%超の上昇をみせた。
しかし、第3Q決算が伸び悩み。S&P500ベースの純利益(前年同月比)は、除く資源関連で、9/30:-2.0%→11/18:-3.6%と若干の下方修正、下降トレンド終焉を示す200MA超えには力不足。年明けに始まる第4Q決算は、同じく‐5.2%と近年では最も厳しい予想。市場は織り込み済みで下押し材料ではないが、2022年末に、S&P500が、現在4067pを走る200MAを超え8/16高値4300p水準へ到達するには、12/14のFOMCで利上げペースの一段の縮小を示唆、12月中旬以降に主要企業の上昇修正が続く、などの支援材料が必要とみる。
ドル円は、前述の通り10月米CPIの低下により急落、一時137円台に入ったが11/18は140円まで回復。①米利上げは続く②日本の貿易赤字は15か月連続(10月赤字2.2兆円、3か月連続で2兆円台)③石油・天然ガス高騰は当面続くなどから、12月FOMC利上げへ向けてドル再上昇を予想。
日本のエネルギー自給率(2019年)は、米国104%に対し12%(2019年)と脆弱。東北震災前、2010年の20%水準へ回復しないと高騰する資源購入が続き、2023年度は20兆円規模と過去最大の貿易赤字が想定され、日本側要因の円安・ドル高トレンドが続くとみる。
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