投資のコンシェルジュ 第12回 日米株価&ドル円市場の行方
2022.10.18 (火)
日米株価&ドル円市場の行方《2022年10月上旬~11月上旬》
〔日本時間:2022年10月8日作成〕
11月上旬へ向け、(ロシア進軍の不確定要素を除き)米国株式市場の焦点は、物価と金融政策に加え、2022年第3Q決算(決算)の行方、を挙げておきたい。
1.10月13日(木):9月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回るか。
2.10月24日(月)週に集中する米企業決算は物価沈静化の効果が利益の下支えとなるか。
3.11月2日(水)、FOMCの利上げ幅は0.75%から縮小となるか。
上記の結果、1:下回る、2:利益下支え、3:縮小、は、米株価指数の押し上げ要因と想定。
11月上旬の予想レンジは、①NYダウ:34,000ドル、②S&P500:4,300p、③NASDAQ:13,100p、④日経平均:29,200円、⑤ドル円:150.00円、の各水準。①~④は、前号までの3月29日高値から8月15~17日高値水準を目標とし、200日移動平均を上抜けて、年初来の下降トレンド終焉を確認したい。⑤は、9月22日、政府・日銀による150円手前での為替介入(円買い・ドル売り)を受け、上値は限定的になった可能性。また、上記「3」が米金利の上値と日米金利差拡大の目処を印象づけるものとなれば、ドル高一辺倒の終焉も視野に。
9月21日、FOMCでは、市場予想通りの3会合連続0.75%利上げ(政策金利3.25%)であったが、同時に発表された「経済予想サマリー」では、
①年内にあと1.25%の利上げ
②2023年の政策金利が最大4.6%(6月時点3.8%)
③実質GDP成長率見通しを2022年0.2%(同1.7%)など大幅に引き下げ
と、インフレ抑制へ一層の金融引き締めと経済成長の原則を示唆。
金融市場は、11月0.75%+12月0.50%=1.25%の政策金利引き上げ(2022年末値4.50%相当)、政策金利上限(ターミナル)予想を2023年5月時ピークの4.75~5.00%(従来4.25~4.5%)、への見直しを迫られ、過度な利上げによる景気失速懸念の強まりから株価は軟調に、9月30日にはS&P500は6月安値3,666pを割り込む、年初来安値3,585pへ。
一方で、世界へ波及する基軸通貨「ドル」の急激な利上げは、米国発「世界へのインフレ輸出」との批判も高まる。9月30日、FRBブレイナード副議長は「各国への米利上げの影響を考慮」と配慮を示唆。続く、10月3日、国連貿易開発会議(UNCTAD)のグリンスパン事務局長は「インフレ抑制を利上げだけに頼らず、商品市場の投機やサプライチェーン問題解消など他の方策も尽くすべき」との苦言に米大幅利上げ観測は後退し、10月5日まで株価は反発。
10月7日、雇用統計の失業率低下(8月3.7%→9月3.5%)が市場にインフレ惹起を連想させコンセンサスを再び「大幅」へ、株価は下落したが、今後の「データ次第」では11月FOMCの利上げ幅縮小の見方はあり、「1」および「2」も踏まえ、株価反騰へ備えたい。
ドル円は、9月22日、前日の米FOMCのタカ派的な結果と、同日、日銀の緩和継続決定が市場に一層の日米金利差拡大を連想させ、心理的なフシとなる145円間近へ迫るドル高局面で政府・日銀が2024年ぶりの円買い・ドル売り介入を実施。介入規模は2.8兆円と過去最大級。介入資金は外貨準備・約189兆円の大多数を占める米国債の売却資金とみられ潤沢。介入後の140円水準から、10月7日NY時間では介入前高値を超える145円台へ再び上昇。政府・日銀の許容範囲が限界に近いと推察、150円を当面の政策的な上値目処とみている。
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