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投資のコンシェルジュ 第19回 米3月FOMC結果発表へ向けた米国株式市場の見通し

2024.02.15 (木)

アイザワ証券 事業推進部

河西 幸弘

投資のコンシェルジュ 第19回 米3月FOMC結果発表へ向けた米国株式市場の見通し

2024年3月20日頃の米国株価指数の見通し

NYダウ:40,900ポイント
⇒ 予想EPS(1株当たり純利益):2046.48の20倍

S&P500:5,100ポイント
⇒ 現状水準での高値揉み合い

NASDAQ:17,020ポイント
⇒ 2021年11月19日の史上最高値更新

市場の焦点

①3月米金融政策決定会合(FOMC)利下げ時期の後退を促すか?

3月19日~20日の米FOMCが最大の焦点となります。1月会合(1月30日~31日)では、2023年9月以来、4会合連続で政策金利は据え置かれ、声明文から「追加引き締め」の文言が消失。また、会合後のパウエル議長会見では「次の一手は利下げ」とし「引き締めから緩和」への転換が明確化となりました。

市場は、2023年12月会合時「利下げを検討した」との同発言の後、3月の利下げ開始から、2024年末には、現在の「5.25-5.50%」から「0.25%×6回=1.5%」幅の利下げで、年末値は4.00%を織り込みます。

ただし、その後2023年10~12月期の米実質GDP(1月25日発表)は+3.3%(FRB予想:+2.6%を上回る)、2024年1月雇用統計(2月2日発表)で非農業部門雇用者数が35.3万人(過去平均20万人)など、一連の経済指標は、景気の強さ「経済無傷(ノーランディング)」を示し、早期利下げ論には冷や水を浴びせました。パウエル議長は「3月までに(利下げの)確信できない可能性」(2月4日・TV番組内)、アトランタ連銀・ボスティック総裁「今年の第3四半期(7~9月)で最初の利下げ」(1月18日講演)と、市場の早期利下げ期待を押し戻し。現在、6月開始(年内4回利下げ)まで、利下げ期待を押し戻しています。

米10年債利回りは、上記利下げ期待で2023年末3.80%割れへ急低下、足元は期待剥落により4.3%水準へ上昇、これは株式市場の重石になるとみています。

②利下げ期待剥落と業績回復の綱引きを想定

ただし、それは「景気の強さ」の証しです。事実、足元で進む、S&P500ベースの2023年4Q(10~12月期)では、EPS成長率※(前年同期比・予想)が、発表前の+7.9%から、2月9日時点で+12.5%まで上振れ、3Q実績の同+13.1%に続く二桁増の見通しとなります。これは前述「金利上昇」を押しのける、力強い材料です。
※市況に影響され易い資源関連を除く

業績好調の牽引役は、エヌビディアを中心とするAI・半導体関連です。NYダウ採用銘柄では、マイクロソフト、セールスフォース、アップル、IBM、インテルなど多数あり、各社の増益、最高益更新が指数の史上最高値更新を裏付け、金利上昇との綱引きですが、2月9日時点、業績の押し上げで39,000ドル付近へ上昇、40,000ドル超えでも違和感はなく、本記事ではメインシナリオとしたいところです。

③次のリスクは「もしトラ」か?

不確定要素はあります。それは米大統領選挙へ向けた共和党予備選で、トランプ前大統領が再び候補者となる「もしトラ」です。
「ほぼ全ての外国製品に10%関税、中国には60%かそれ以上」
「北大西洋条約機構(NATO)加盟国への貿易義務を(必ずしも)順守しない」など、再選への「もしトラ公約」発言は続きます。

予備選の勝者がトランプ氏の場合、民主党の現職・バイデン氏の劣勢が伝わる中で、11月5日本選へ、金融市場、特に株式市場はある程度の不安定化は予想し易いです。

注目は2月24日、対抗する元国連大使のヘイリー氏の地元サウスカロライナ州での予備選。ヘイリー氏勝利なら、3月5日スーパーチューズデー(共和党予備選・党員集会の集中日)での同氏勝利の芽。逆に敗退だと、それを待たずに同氏撤退、トランプ氏の共和党候補決定の可能性は高くなります。

※2月9日時点では、19州で係争中の、前回大統領選でのトランプ氏の「反乱」が認定され、今回の出馬資格が剥奪される可能性が残されています。

ダウ工業株30種平均(2022年12月30日~2024年2月13日)

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ライター

河西 幸弘

アイザワ証券 事業推進部

河西 幸弘

国内大手の証券・保険会社において、リテール、事業法人、機関投資家等への金融商品の営業を、大手運用会社では15年に渡りRM(リレーション・マネジメント)等を経験。その間、証券アナリスト(CMA)、日本FP協会(CFP)、1級FP技能士等の資格を取得。そして、2021年4月、アイザワ証券入社。事業推進部において投資信託や債券等のストラテジックな商品提案を推進する一方、難解な金融市場の「分かりやすい」解説に挑む。

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