マーケットのミカタ 9月の調整局面は買い場か
2022.09.07 (水)
9月の調整局面は買い場か
8月の米雇用統計は労働参加率の上昇を好感
9月2日に、8月の米雇用統計が発表されました。まずは労働参加率と失業率の推移をグラフで見てみましょう。
8月のアメリカの労働市場では、労働参加率が62.1%から62.4%に上昇し、それに伴い失業率も3.5%から3.7%に上昇しています。労働参加率の上昇により企業の人手不足が解消されれば、賃金上昇に歯止めがかかりインフレ率の低下と企業活動の活発化をもたらすことが考えられます。
8月の雇用統計は、全体的に株式市場にとってプラスとなる内容であったといえそうです。
株式市場の調整局面は9月FOMCまで続く可能性
8月26日に開催されたジャクソンホール会議(注1)の際に、FRBのパウエル議長が金融引き締めを断行する意を表したことで、世界の株式市場は再び調整局面を迎えています。まずはS&P500指数とTOPIXのグラフを見てみましょう。
グラフを見ると、日米の株価は8月中旬にピークを付けてから、下落に転じていることが分かります。市場では、FRBの金融政策に対して楽観的に見ていた部分が修正に向かっており、現在の調整は少なくとも9月のFOMC(9月20~21日開催)までは続く可能性があります。
(注1)世界各国の中央銀行総裁や経済学者等による、世界経済や金融政策を議論する会議
TOPIXのPERは過去のレンジの下限
日米の株式市場について、割安さを示すPER(注2)のグラフを見てみましょう。
グラフを見ると、TOPIXのPERは過去の範囲の下限まで低下しており、現在は非常に割安な水準にあるといえます。
割安さを考慮すると、9月に株式市場の調整が続いた場合は、良い投資機会になると考えています。
最後に、注目の投資テーマとしては、インフレ長期化が恩恵となるエネルギー関連企業、脱炭素の流れや新設も検討される原発関連企業、行動規制緩和が恩恵となるインバウンド関連企業、完成車不足からサプライチェーン正常化により挽回生産が期待される自動車関連企業、株価調整が先行しており海外の影響を受けにくい中小型株が挙げられます。
(注2)株価収益率の略称で、株価÷1株当たり利益で算出される。株価の割高・割安の判断に用いられる指標。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
- 「スーパーブルーラップ」の詳細はこちらから
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