マーケットのミカタ 株価の反発は続くのか
2022.08.15 (月)
株価の反発は続くのか
米国10年債利回りの低下によりグロース株が反発
6月中旬以降、アメリカの長期金利が低下し、それに伴いNASDAQなどのグロース株を中心とした株価が反発しています。まずは米国10年債利回りとNASDAQの推移を見てみましょう。
グラフを見ると、アメリカの長期金利と株価指数は反対の動きをする傾向がみられ、6月中旬以降は米国長期金利が低下してNASDAQが反発していることが分かります。
一方、紫の点線で囲った部分を見ると、米国10年債利回りは8月に入ってから反発しています。8月初旬に発表されたアメリカの経済指標が予想を上回ったことで、同国の景気減速懸念が後退し、それに伴い金融引き締め加速懸念が再び高まっていることなどが考えられます。
アメリカの経済指標は景気の底堅さを示す
8月初旬に、7月のISM景況感指数と米国雇用統計が発表されました。ISM景況感指数は、ISM(全米供給管理協会)が企業に受注や価格など10項目についてアンケート調査を行い、結果を景況感として指数化したもので、景気の先行指標とされています。雇用統計は、米国労働省が失業率や部門別雇用者数、平均賃金などを調べた統計で、金融政策の動向にも影響する重要指標です。
まずはそれぞれグラフで見てみましょう。
7月のISM景況感指数は製造業と非製造業ともに市場予想を上回りました。特に非製造業において、今後の見通しや受注が大きく改善しました。
7月のアメリカの非農業部門雇用者数も市場予想を大幅に上回る増加となり、総就業者数はコロナ感染拡大前である2020年2月の水準を超えました。アメリカの労働市場は依然として堅調であることが示されました。
株式市場は短期的に上値が重くなる可能性も
足元のアメリカの経済指標は、依然として景気が底堅いことを示すものが多く、市場では金融引き締めが加速する懸念が再び高まる可能性があります。それに伴い米国長期金利が再度上昇し、短期的に株式市場の上値が重くなる可能性にも警戒が必要でしょう。
景気やインフレ、金融政策の動向により株式市場が乱高下する状況は、もう少し続くかもしれません。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
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