マーケットのミカタ 日銀短観を読む
2022.07.15 (金)
日銀短観を読む
7月1日に、日銀が6月の日銀短観(全国企業短期経済観測調査)を発表しました。日銀短観とは、「日本銀行が各企業の経営者に業況判断(景気の見通し)を問う」アンケート調査で、サンプル数の多さと回収率の高さから、注目度の高い経済指標です。
各企業の経営者が今後の見通しについてどう考えているかを知ることにより、企業の設備投資が今後増えるかどうか、またそれにより将来的に景気が良くなるかどうかを予測することができます。
今回は、株式投資をする上でも非常に重要な日銀短観を見ていきましょう。
大企業製造業DIは前回から低下したものの高水準
まずは、景気との連動性が高い大企業製造業DIのグラフを見てみましょう。DIとはDiffusion Indexの略称で、景気の方向性を表す指標です。0以上で「景気が上向き」、0以下で「景気が下向き」と判断します。
グラフを見ると、現状の業況を問う「最近」の指数は9ポイントと前回から5ポイント低下した一方で、今後3か月の業況を問う「先行き」の指数は10ポイントと前回から1ポイント上昇しています。DIが節目の0を大きく上回っている状態が続いていることも考慮すると、日本企業の稼ぐ力が高まってきていることが考えられます。
大企業非製造業DIは上昇が続く
次に、大企業非製造業DIのグラフを見てみましょう。
大企業非製造業DIは、「最近」と「先行き」の両方が前月から大きく上昇しました。コロナ後の経済再開により業績が底打ちした企業が多く、今後はインバウンド需要の回復などが更なる追い風となることが考えられます。サービス業などを中心に当面は見通しが良い状態が続きそうです。
今年度の企業の設備投資計画は非常に強い
最後に、企業の設備投資計画の長期間のグラフを見てみましょう。
グラフを見ると、今年度の日本企業の設備投資計画は前年度比+14.1%と、過去20年間で見ても非常に高い水準であることが分かります。機械産業などの設備投資関連企業にとっては特に強い追い風になるでしょう。
全体的に見ると、今回の日銀短観は日本企業の力強さを示唆する結果となり、日本の株式市場が底堅く推移していく支援材料になると考えられます。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
- 「スーパーブルーラップ」の詳細はこちらから
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