なぜなにワード解説 イールドカーブ・コントロールって?
2023.08.10 (木)
イールドカーブ・コントロールって?
最近日本銀行がイールドカーブ・コントロールを修正したというニュースをよく聞きます。なぜ?なに?と思った方も多くいらっしゃると思いますので、今回はそれについて簡単に紹介していきます。
そもそもイールドカーブとは、横軸に償還までの期間、縦軸に利回りを用いたグラフに描かれた利回り曲線のことです。1つの債券の動きを表すものではなく、償還までの期間ごとに複数の債券があり、それらをまとめて1本の曲線で描いています。通常イールドカーブは右上がりの曲線になっており、これを「順イールド」といいます。逆に短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブが右下がりの曲線となっている状態を「逆イールド」といいます。
中央銀行が市場に介入することで、このカーブの傾きが急になったり、緩やかになったりします(①)。また、短期金利を操作することでカーブの起点が高くなったり、低くなったりするので(②)、金融政策の影響が視覚的に把握しやすくなっています。
日本国債の利回り曲線(2023/08 現在)
イールドカーブ・コントロールは長短金利操作とも呼ばれ、長期金利と短期金利の誘導目標を定めて、イールドカーブを適切な水準に維持することをいいます。具体的には、金融機関が日銀に預けている預金にマイナス金利を適用することで短期金利を調整しており、長期金利は市場に流通している国債を買い集めることで量的に調整しています。
2023年7月28日、日銀は長期金利が上限である0.5%を越えてしまっても無理やり抑え込まずに、ある程度は容認すると発表しました。イールドカーブ・コントロールの運用を以前よりも柔軟にすることで、大規模な金融緩和を継続しつつ、市場機能の低下を抑制することを狙いにしているようです。
このようにイールドカーブ・コントロールは、経済全体を金利の面から調整する重要な施策であり、なぜなにワード第8回でご説明したように、金利は株価に密接に関わってくる重要な要素なので世界中の国や企業から注目されています。
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