アジア株週間トピックス 2023年9月4日号
2023.09.04 (月)
ベトナムの経済指標が低迷?
ベトナムの8月輸出入は前年割れに
8月29日、ベトナムの2023年8月の経済指標が発表されました。もともと世界的にも景気は夏枯れ状態ですが、経済指標をみる限り、ベトナムの経済も低迷が目立ってきたようです。鉱工業生産は前年同月比+2.6%、小売販売は前年同月比+7.6%とまずまずでしたが、輸出は前年同月比-7.6%、輸入は前年同月比-8.3%と、前年割れでした。ベトナムは世界的な需要の動向に影響を受けやすい経済構造のため、外需の影響を大きく受けていると思われます。
なお、同日に8月のCPI(消費者物価指数)も発表されました。前年同月比+2.96%と、2023年3月以来5か月ぶりのインフレ水準となりました。ベトナムの物価は上がるときも下がるときも一方向に進む傾向があり、経済の動向、物価の行方が注目されます。
中国は不動産不況、外貨預金準備率2%引き下げも
中国の不動産企業は当面資金繰り難か?
中国の不動産市場では破産申請したエバーグランデ[中国恒大集団]に次いで、カントリー・ガーデン(碧桂園)も債務再編交渉の延期を繰り返すなど、資金繰りに苦しんでいます。9月4日が期限のマレーシア・リンギット建て社債の利払いは履行できたようですが、今後もドル建て債の償還期限などが迫っており、当面資金繰りに苦しむ状況が続きそうです。
9月1日、中国人民銀行は金融機関の外貨預金準備率を現行の6%から4%に引き下げる、と発表しました。9月15日から実施されます。中国の外貨預金準備は2023年7月末時点で8,218億米ドルなので、この引き下げによって約164億米ドル相当の外貨が市場に開放されることとなり、金融緩和の一種といえます。市場では効果は限定的ではないか、との見方もありますが、低迷している中国経済にとってはなんらかのプラス効果をもたらすとみています。金融緩和の効果を見守りたいと思います。
今後発表される中国の8月の経済指標にも注目か?
また同日、中国の8月のカイシンPMI(購買担当者景気指数)が発表されました。ブルームバーグの予想では、49.0と、50割れになるのでは、とみられていたため、結果の51.0は予想以上に堅調だったといえるでしょう。世界経済への影響という点で、今後の中国政府が発表する経済指標が注目されます。
今後の中国経済の主な経済指標発表予定としては、9月7日:貿易関連統計、9日:CPI・PPI(生産者物価指数)、15日:新築住宅価格・鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資投資などの発表が予定されています。不動産大手企業の不振も含めて、今後発表される予定の中国の経済指標の数値が注目されます。
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