アジア株週間トピックス 2023年10月10日号
2023.10.10 (火)
インドネシアで10月2日に高速鉄道が開通の記念式典を実施
インドネシアでジャカルタ-バンドン間高速鉄道が着工からおよそ4年遅れでようやく開通
インドネシアでジャカルタ-バンドン間(約142キロ)の高速鉄道(通称:Whoosh / ウーシュ)が開通し、10月2日に記念式典が開催されました。着工以来、土地収用問題、新型コロナ感染拡大、資材費や人件コストの上昇など様々な障害を乗り越えて、ようやく開通にこぎつけることができました。
なお、この高速鉄道プロジェクトは、当初は一旦日本企業が受注したものの中国が安さと早さをアピールして土壇場で逆転受注した案件で、日本政府、関係者各位にとっては因縁のプロジェクトです。その意味では、開通を素直に評価することはできませんが、今後インドネシアが鉄道拡張計画を進めていくうえで一つの転機になったと思われます。
なお、この高速鉄道プロジェクトには国内最大の建設会社であるウィジャヤ・カルヤ(WIKA)が主力企業のひとつとして参加しています。ここ数年はこの高速鉄道がなかなか開通しないことが、同社株の株安要因の一つに挙げられていました。この開通を機にインドネシアのインフラプロジェクト増加、同社株の回復に期待したいものです。
9月21日にインドネシア国会で2024年度予算が可決
インドネシアの2024年度予算案は前年度予算に比べて緊縮気味か?
9月21日にインドネシア国会で2024年度の国家予算が可決されました。対GDP比財政赤字比率は前年度比0.55%減少と、全体的には抑え気味の予算となっています。インドネシアの直近の政府債務残高はGDP比で38%程度と、過度に懸念されるレベルではありませんが、中銀はコロナ対策で膨れ上がった債務水準を減少させようとしています。財政再建を優先させているといえるでしょう。
今後の経済指標発表、金融政策会合の日程にも注目
インドネシアでは2023年1月に5.75%に利上げして以降、8会合連続で政策金利を5.75%に据え置いています。他の国では、利下げに踏み切っている国も増えてきていますが、インドネシアは不安定なルピア相場などがネックとなって、なかなか利下げに踏み切れないようです。
また、この政策金利は他国より比較的高い水準で、インドネシアが景気の本格回復を目指す上で重しになっていると思われます。次回の輸出入発表は10月16日、金融政策委員会は10月19日です。直近の経済統計発表を受けて、政府当局がどのような判断を下すか注目されます。
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