コリアインサイト イカゲームが世界的ヒット!韓国エンタメ業界
2021.11.15 (月)
韓国発ドラマ「イカゲーム」がネットフリックス史上最大のヒットとなっています。ネットフリックスは、同ドラマが1,000億円超の価値をもたらすと予測しています。昨今、日本と中国で流行した韓国のコンテンツが世界規模でヒットするケースが増えてきました。足元、韓国では企業の決算発表シーズンに入り、徐々にエンターテインメント企業の業績が明らかになっています。
驚異的なヒットを飛ばす「イカゲーム」
これまでもネットフリックスで韓国映画やドラマがヒットすることがありました。最近では「キングダム」や「愛の不時着」、「梨泰院クラス」などのヒットが記憶に新しいでしょう。そのような中、「イカゲーム」が驚異的なヒットとなっています。全世界でネットフリックスのランキングトップに浮上し、ドラマの中に出てきたゲームや衣装なども注目されるなど、シンドロームといっても過言ではないくらいの状況です。
制作会社のスタジオ・サンタクロース・エンターテインメント(韓国:204630)の株価は、9月24日の安値2,425ウォンから10月19日には高値4,920ウォンをつけるなど急騰しました。
BTSの「ハイブ(韓国:352820)」
ハイブの第3四半期(7~9月)決算は、売上高が前年同期比約79.5%増の3,410億ウォンと、大幅増収を記録しました。特に男性アイドルグループのBTSとTXTの音盤売り上げが寄与。同社が海外進出の足掛かりに買収した米国のイサカ・ホールディングスの子会社、ビッグ・マシーン・レーベル・グループの好業績が寄与しました。ビッグ・マシン・レーベル・グループは、米国でBTSとTXTの音盤販売を手掛けています。そのほか、新型コロナの感染拡大によりコンサートの開催ができなかった反面、オンラインコンテンツの売り上げが堅調でした。
今後同社は、①NFT(非代替性トークン※)ビジネス、②アーティストの著作権を基盤にしたゲームやオリジナルストーリーの開発、③ハイブアメリカの拡大など、さまざまなプロジェクトの本格化によりさらなる成長が期待されます。
※NFTとは、デジタル化された創作物に対して、改ざんが難しいブロックチェーン技術を使って唯一の署名をつけることで、その出自や保有を証明するもの。
コンテンツ力の「CJ ENM(韓国:035760)」
CJ ENMの第3四半期決算は、売上高が前年同期比7.4%増の8,575億ウォン、営業利益が同23.6%増の878億ウォンとなりました。部門別では、TV広告とコンテンツ販売が大きく成長したことにより、メディア部門が過去最大の営業利益を記録しました。
同社の注目は、動画ストリーミングサービス(OTT)の「TVING(ティービング)」です。ティービングはネットフリックスのようなプラットフォームですが、韓国ドラマや芸能、スポーツコンテンツが中心となっています。第4四半期にはオリジナルドラマと映画の配信がスタートされる予定で、好調を維持しそうです。
今後収益改善が見込まれる「スタジオドラゴン(韓国:253450)」
日本でもヒットした「キングダム」、「ヴィンチェンツォ」、「Sweet Home」、「愛の不時着」の制作会社であるスタジオドラゴンの第3四半期決算は、営業利益が前年同期比9.0%減の146億ウォンとなりました。放映数の減少と製作費の上昇などが収益を圧迫しました。しかし、第4四半期からは、制作数および放映数の増加で改善が見込まれます。
また、同社が初めて米国で制作契約を締結したオリジナルドラマシリーズ、「The Big Door Prize」に続く作品のグローバルOTT契約を進めている模様です。国内市場に比べて格段に大きな米国市場の開拓による成長が期待できるでしょう。
アジアから世界へと活躍の場を広げる韓流。これらに携わる韓国企業の成長が期待されます。
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