マーケットのミカタ アメリカのインフレと日本株の底堅さ
2022.10.19 (水)
アメリカのインフレと日本株の底堅さ
アメリカの金融市場のボラティリティは高止まり
アメリカの金融市場は、株式・債券ともに足元でボラティリティ(値動きの幅)が高まっています。まずはS&P500指数の予測変動率を示すVIX指数と、米国債の予測変動率を示すMOVE指数の推移を見てみましょう。
VIX指数は30前後と比較的に高水準で推移しており、MOVE指数は150前後と極めて高い水準で推移しています。投資家の不安心理が高まっていることが示されており、インフレや金融政策などに振り回される状況は当面続く可能性があります。
アメリカのインフレは上振れが続く
10月13日、アメリカの9月のCPI(消費者物価指数)が発表されました。CPIの推移と、注目される項目のガソリン価格と住居費の推移を見てみましょう。
アメリカの9月のCPIは市場予想を上回り、高インフレが長期的に続く懸念が高まりました。
ガソリン価格は足元で一服していますが、10月5日に石油輸出国からなるOPECプラスが大幅減産を決定したこともあり、WTI原油先物は反発しています。ガソリン価格についても、下げ止まり反発に転じる可能性があります。またアメリカのCPIの約3割を占める住居費の上昇が加速していることからも、今後も高インフレが継続することが示唆されています。
地域別の経済成長率見通しからは、日本経済の堅調さが示される
10月11日に、IMF(国際通貨基金)が世界の経済見通しを発表しました。主要地域の実質GDP成長率見通しのグラフと表を見てみましょう。
グラフと表から、アメリカやユーロ圏は7月時点での予想から見通しが大きく下方修正され、低成長にとどまることが見込まれているのに対して、日本の見通しは相対的に堅調であることが読み取れます。
日本経済が底堅く推移することが期待される理由としては、コロナ禍からの正常化が欧米より遅れてようやく進んでいること、「全国旅行支援」などの政策効果でサービス関連の消費が増加すること、円安や外国人入国者上限撤廃などからインバウンドの回復が見込まれることなどが挙げられます。
ボラティリティの高まりや高インフレの継続から世界的な株式市場の下落トレンドは続く可能性がありますが、投資家の判断基準がファンダメンタルズにシフトしていくなかで、日本株の優位性が高まってくるとみています。
- 当記事は、アイザワ証券のラップサービスの一つ「スーパーブルーラップ」のファンドマネージャーである三井郁男が作成したレポートを、添田恭平が再構成したものです。
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