ザ 語源 第4回 おみくじとご利益(ごりやく)
2022.01.04 (火)
第4回 おみくじとご利益(ごりやく)
年始の行事と言えば初詣です。神社・仏閣に足を運び、新年の無事や家内安全・商売繁盛を願います。神仏に祈願することで受ける恵を「ご利益(ごりやく)」と言います。ご利益の英語は「ベネフィット(Benefits)」です。
ところで商取引などから得られた儲けも「利益(りえき)」といい、「ご利益」と同じ漢字です。中世までの日本では神仏の影響力が強く自分の身に起きた良いこと・得をしたことは天や神様の恩恵ととらえていました。時代が近世に移り、次第に「ご利益」の本来の意味合いが薄れ経済的メリット、つまり「利益」が定着したのです。
因みにご利益の英語である「ベネフィット(Benefits)」も日本語の「ご利益」と同様にラテン語の「神様から良い(bene)行い(facere)をした恩恵を受ける」が語源となっています。神から与えられたものというより純粋に商売上計上した「利益」にあたる英語は「プロフィット(Profits)」となります。
次に利益という漢字の語源を辿ってみます。「利」はのぎ辺(禾)とりっとう(刂)に分けられます。「禾」は良く実った稲の穂が垂れる様を表し、「りっとう」は鋭利な刃物を表しています。「利」という漢字は収穫物を売って得られる利益が語源となっています。
「益」はお皿から溢れんばかりに盛られたものを象形した漢字です。(下図参照)
初詣で「おみくじ」を引いて一年の運勢を占う方は多いと思います。おみくじは漢字で「御神籤」と書き、籤(くじ)の一種です。「御神輿(おみこし)」や「御神酒」(おみき)」の「御神」は神仏の霊威を表しています。
ところでおみくじは本来30%の確率で「凶」がでる設定であったようです。おみくじを引いて「吉」が出ず「凶」が出ると文字通り「不吉」です。
しかし人生は「幸運、普通、不運」の三種類くらいと考えれば、30%というのは事実に即した確率とも思えます。「凶」の真意(神意)はその人の不運を「予言」しているものではなく、神仏の「助言」が書かれているのです。つまり「凶」を引いた方は神仏の助言により「自らを省みる」「立ち返りのきっかけを見出す」ことが出来るというわけです。
またおみくじの「凶」を運気上昇のきっかけとみることもできます。神仏の助言により、災いに留意して乗り切ればその後運気は上昇傾向となると考え、「凶」をラッキーととらえることも出来ます。株式の取引に例えれば株価が下がっているところつまり「底」近辺で購入すれば大いなる利益につながります。一方で「大吉」は幸運の頂点を示し、要警戒とみることも出来ます。
おみくじはわずかなお金でありがたい神様の助言を得られます。「運」は「運ぶ」と書きます。運勢は予め決まっているものではなく様々な助言を参考に自ら切り開くものなのでしょう。
※本記事で解説する内容について、実際の言葉の成り立ちや、一般的とされる説と異なる場合がございます。
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