コリアインサイト 日韓の水際対策緩和で旅行とカジノに復活の兆し
2022.11.21 (月)
コロナ禍の水際対策によるビザと出入国規制で、日韓往来人数はしばらくほぼゼロ近くまで落ち込んでいました。筆者自身もビジネスビザを取るために煩雑な手続きで苦労しました。
しかし、10月以降ビザ免除と規制緩和により、航空便の再開の波が地方路線に広がりつつあります。これに伴い往来人数も急増しています。また、航空便の拡大で運賃も大きく値下がりするなど追い風となっています。
今回は、ようやくコロナ禍の長いトンネルを抜けつつある旅行業界とカジノ業界を見ていきましょう。
航空便の再開
10月11日に日韓相互のビザ免除措置が再開されました。2年半ぶりの出入国規制の緩和により、航空便の再開が本格化しつつあります。しかし、日本主要路線の10月の月間運航本数は1,884便と前月比で37%増加したものの、コロナ禍前の47%にとどまります。したがって、今後右肩上がりの回復が期待されます。
行き先も東京、大阪から福岡、札幌、名古屋まで拡大しています。11月11日には格安航空会社(LCC)が済州島~大阪便を再開しました。また、仁川~大阪の往復運賃はこれまでの6万円台から3万円台まで値下がりするなど追い風となっています。
水際対策の緩和で急回復中の旅行会社
韓国の大手旅行会社にはハナツアーとモドゥツアーがあります。
ハナツアーは今年第3四半期の月間送客数が2万人台でしたが、10月から急回復しています。10月は3万人、11月は4~5万人となる見通しで、さらに来年1~2月は月間10万人台まで伸びることが予想されます。
一方、モドゥツアーは第3四半期の営業損失が45億ウォンに上ったものの、来年1~2月には黒字転換が期待されています。
カジノの日本人VIP顧客が回復基調
カジノ業界のおいても日本人顧客の回復が本格化しつつあります。同業界は直近2年半にわたり赤字が続きましたが、ようやく回復の兆しが見えてきました。
10月に再開された航空便は限られていたにもかかわらず、日本人VIP顧客のドロップ額(顧客がチップに両替した金額)はコロナ禍前を上回りました。顧客数はコロナ禍前の70~90%程度にとどまったものの、1人当たりのドロップ額が増加しました。今後、航空便の再開とともに売り上げの増加が期待されます。
韓国にはカジノ企業が3社あります。外国人向けのパラダイスとGKL、韓国人向けのカンウォン・ランドで、水際対策緩和の恩恵を受けるのは外国人向けの2社でしょう。
パラダイスはソウル、仁川、釜山、済州島の4か所でカジノを運営し、子会社を通じてリゾート、ホテルなどを経営しています。カジノとホテルの需要回復で最も恩恵を受けることが予想されます。
一方で、GKLは2005年設立された公社で、ソウルで2か所、釜山1か所のカジノを運営しています。
日韓の民間交流の再開はこれから
コロナ禍で抑制されてきた旅行需要はいまや爆発寸前となっています。冬休みを契機に日韓の若年層による旅行がより活発になるでしょう。民間交流によって、両国が地理的な面だけではなく感情的な面でもより近い国になることを楽しみにしています。
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