アジア株週間トピックス 2022年7月25日号
2022.07.25 (月)
フィリピンは今年3回目の利上げ
フィリピンは緊急利上げを実施
7月14日に、フィリピン中央銀行は臨時金融政策決定会合を実施、今年3回目の利上げを発表しました。政策金利は2.5%から75bp引き上げ3.25%となった。かなり緊急度の強い利上げであったといえます。7月5日に発表された6月のCPI(消費者物価指数)は6.1%と約4年ぶりのインフレ状態で、中銀の目標レンジ(2~4%)を3か月連続で上回っています。8月9日には2022年2四半期GDP成⾧率の発表、18日には金融政策決定会合が当初計画通りに開催される予定で、今後もフィリピンの利上げ警戒が続きそうです。6日のマレーシア、13日の韓国など、アジア各国では利上げが相次ぎました。当面は各国とも、インフレ動向、利上げによる景気への影響、米国の金融政策などを天秤にかけながら不安定な金融政策を余儀なくされると予想されます。
数年来の通貨安水準に
対米ドルでの通貨安目立つ
直近は円安ドル高が注目されていますが、アジア新興国においても通貨安(米ドル高)が目立っています。特に通貨安が顕著になっているのはフィリピン・ペソ、マレーシア・リンギなどで、いずれも直近のレートは数年来の通貨安水準となっています。もともと1997年にタイ発でアジア通貨危機が起こったように、アジアの通貨は脆弱な傾向があります。1997年の通貨危機時に比べると外貨準備などの点では改善されているものの、大国の通貨に比べるとまだまだ不安定さは否めません。自国通貨が安いことで輸入インフレにつながるリスクがある、という面でも自国通貨安は要警戒です。
自国通貨安による通貨安メリットにも着目
通貨安はマイナス面ばかりではありません。日本でも円安メリットが期待できる銘柄がクローズアップされていますが、アジア新興国でも同じことがいえます。近年は多くの企業が輸出入に際して複数の国、企業と取引するケースが多く、「自国通貨安≒輸出企業に有利」という構図が成り立ちにくいものの、おおむね輸出の多い企業は自国通貨安によって恩恵を受けやすいと思われます。
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