アジア株週間トピックス 2023年10月16日号
2023.10.16 (月)
台湾総選挙と台湾海峡の情勢
拓殖大学、国際講座での門間教授の解説
今年10月7日に拓殖大学の国際講座を聞く機会がありました。このたびのテーマは「台湾総統選挙と台湾海峡の情勢」というテーマで、同大学の門間教授の見方をお聞きしました。同教授の見方がすべて正しいというわけではありませんが、主な意見は以下の通りです。
- 2024年1月13日実施の台湾総統選挙について
今のところ、現地の支持率上位は、1位:頼清徳(民進党)43.3%、2位:候友宜(国民党)18.9%、3位:柯文哲(台湾民衆党)16.3%となっています。今のところ人気度、支持率からみて、頼清徳氏が有利と思われます。ただ、頼氏は蔡英文氏以上に中国に対して批判的主張が多く、中国は警戒しており、中国は頼清徳の当選阻止を図る見込みです。今後、同氏が中国とうまく融和できるかどうかが重要と思われます。また、2024年は2月にインドネシアの大統領選挙実施を控えています。併せて注目です。 - 台湾市民の国民感情は
台湾国内では「自分は台湾人だ」と考える人の比率が増加(5年前の17%から60%強に)している反面「自分は中国人だ」と考える人の比率は(5年前の25%から2.5%程度)に減少しています。香港で2019~2020年あたりに見られた大規模デモ、混乱を見て、台湾人のアイデンティティが高まっていると思われます。 - 中国からの台湾侵攻は?
中国からの侵攻があるとすれば、本島ではなく金門島や東沙諸島などの離島を攻めてくる可能性が高いのではないでしょうか。台湾側は、兵役の期間を16週から1年間に変更しており、国民が一致団結で戦う意向です。中国は外交よりも内政を重視する国で、今の中国の国内情勢やロシアウクライナ情勢を考えると、負けるイクサはしないと思われます。よほど勝利できると確信が持てないかぎり、本格侵攻はしないのではないでしょうか。
参加者は台湾総統選挙の行方、中国情勢に関心か?
公聴者の8割くらいは60~80歳くらいの年輩者でみなさん、台湾、中国の行方を気にしているようです。とりあえず2024年1月の台湾総統選挙の行方と、中国軍や台湾軍が武器、食糧、燃料の事前配備などについて新たな動きをみせるか、という点を注視しておく必要がありそうです。
アジア新興国で発表される経済統計に注目か?
当面の各国経済統計に注目か?
10月12日、マレーシアとインドの8月の鉱工業生産指数が発表されました。インドが前年同月比+10.3%増と好調であったのに対して、マレーシアは前年割れの-0.3%と明暗がくっきり分かれました。また13日に発表された中国の9月の物価統計はCPI(消費者物価指数)が前年同月比0.0%、PPI(生産者物価指数)は12か月連続の前年割れとなる前年同月比-0.25%でした。PPIの低迷は中国国内における需要不足を反映しているといえます。
またその後、10月18日には中国の3Q(7~9月)のGDP、9月の鉱工業生産、小売売上高、19日にはマレーシアの9月の輸出入統計、インドネシアの金融政策委員会など、アジア新興国では注目経済イベントの発表が相次いで予定されています。当面、各国が発表する経済統計を注意深く見守っておく必要があると思います。
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